[レベル:全員]
PubCon Las Vegas 2011のセッションレポートの第一弾は、Googleのウェブスパムグループのトップ、Matt Cutts(マット・カッツ)氏のプレゼンテーションからになります。
現在そして未来のGoogleについて語ってくれました。
SEOは終わっていない
(「検索エンジンが6ヶ月後も妥当なものであるかわからない。(I don’t know if search engines are relevant in 6 months.)」というツイートに対して)「SEOは終わっていない」。
SEOは一種のマーケティング。マーケティングは人間の本質に訴えかけるもの。SEOはマーケティングではなくコーチングだ。多くのホワイトハットSEOがいる。わずかにブラックハットなSEOもいる。
昔は、SEOは機械的なもので人間の本質ではなかった。適切なキーワードや適切なtitleタグを入れればよかった。
検索は変化に関するものでもある。10年前のSEOはシンプルだったが変化している。今は、モバイル・ソーシャル・ローカル・音声などがある。変化することだけは変わっていない。
検索エンジンが今いるところに行きたいとは思わないはずで、検索エンジンがなろうとしているところに行きたいと思うはずだ。
検索エンジンは可能な限りのベストの体験を返したいと考えている。
2010年
2010年は、ハッキングを受けるサイトに大きな力を割いていた。スパムチームはどこに行ってしまったんだ、と言われるほどだった。
2011年
2011年は、質の低いサイト(パンダ)とコミュニケーションにフォーカスしている。
パンダ・アップデートはウェブスパムグループではなく、サーチクオリティグループの主導で進められた。アルゴリズムの変更であって、手動ではない。完璧なアルゴリズムはない。問題があったら教えてほしい。
ガイドライン違反しているサイト運営者に注意を喚起したり、再審査リクエストに対して多くのメッセージを送ったりするようになった。(ペナルティ)アクションが実行されたか、(ガイドライン違反が)改善されたか、手動ペナルティは与えられていないか、依然としてガイドラインに違反しているかなどを伝える。去年のPubConの時よりよりずっとよくなっている。
長期的な展望で見たSEO(10,000歩先)
●モバイル
携帯電話はどこにでも持っていけるコンピュータ。モバイルでどのようにサイトが表示されるかも気にしなければならない。
●ソーシャル
多くの人がSEOの観点からソーシャルを見ている。一歩先に出ている人もいる。Googleは開かれたウェブにあるものしか見ることができない。Googlebotに隠されているものは見えない。ソーシャルでは、検索エンジンに対して最適化する必要は本当はない。
●ローカル
ローカルがトレンドになっている。
少し先を覗いたSEO(1,000歩先)
●Googlebot
Googlebotはさらに賢くなってきて、いろいろなものをインデックスし理解できるようになっている。動的コンテンツを実行できる。Javascriptを処理してクロールし、解釈できる。
ページの中に何があって何が重要か分かるようになってきた。Above the foldにどのくらいコンテンツがあるかも分かる。Above the foldにコンテンツをぼやかしてしまうほどの広告があるなら考えたほうがいい。ユーザーが着地したときにサイトのレイアウトがどのように見えるかも大切だ。コンテンツが見えるのか、気をそらずものが見えるのか。
●パーソナライズ
Androidの音声検索にしてもSiriにしても、うまく行かなかったらユーザーはGoogleに来る。もっと人々をパーソナルに向かわせる。
●検索のためのより便利なツール
「+」構文検索でGoogle+ページを探せる。
●コミュニケーションと透明性
WordPressのバージョンが古い時は通知する。アルゴリズム変更を実行したときはアナウンスする。Googleに情報を送信する。たとえば、スクレイパーサイトが自分より上に来ている時はレポートできる。
すぐにやる価値があること(1歩先)
- Googleウェブマスターツールに登録する。
- (ウェブマスターツールで)メール転送を有効にする。
- コンテンツを公開した時は、”fat pings”を設定する(pubsubhubbub.appspot.com」の利用)。
- 次を購読する。
「SEOは6ヶ月後にはなくなっているんじゃないだろうか」という、前日にキーノートスピーチしたスピーカーのツイートに対するリアクションからMatt Cutts氏のプレゼンテーションは始まりました。
口に含んだ水をブーッと吐き出して(!)、「そんなことはない、SEOは終わっていない」と本題に入って行きます。
昔のSEOはテクニック的だったけれど、SEOは人間の本質に関わるものであって、一種のマーケティング、もっといえばコーチングであるとMatt Cutts氏は捉えています。
今年のウェブスパムグループは、質の低いサイトへの対応とウェブマスターとのコミュニケーションに力を入れてきました。
パンダ・アップデートをはじめ先日のFreshnessアルゴリズム改良は公式ブログでアルゴリズム変更のアナウンスがありました。
今日もInside Searchブログで、最近のアルゴリズム変更のまとめ記事がアップされています(今週中には解説します)。
パンダ・アップデートとウェブマスターツール経由で送るメッセージも拡充されています。手動ペナルティではないことを通知したり、最近では再審査リクエストの経過を詳細に伝えたりするようになっています。
モバイルとソーシャル、ローカルがもっと浸透してくるだろうことに異議を唱える人はいないでしょう。
自分のこと、自分の周りを見れば明らかです。
Googlebotの能力はさらに向上しているようです。
この前はJavascriptで表示されているFacebookのコメントをインデックスしていることが発覚しました。
そしてさらに、レイアウトがどんなふうになっているか、コンテンツの中で何が重要かも判断できるようになりつつあるようです。
パンダ・アップデートでは、行き過ぎた広告やファーストビューにメインコンテンツがないことなどが低品質として評価されるシグナルの1つと考えられています。
ウェブページを人間が見る感覚に近づいていると理解してよさそうです。
衝撃的なニュースはなかったものの、Googleが向かっている方向やGoogleの進化を目の前で話すMatt Cutts氏から生で聴くのは貴重な体験になりました。
明日は、Matt Cutts氏のプレゼンテーションに引き続き行われた、Matt Cutts氏とAmit Singhal(アミット・シンガル)氏のQ&Aをレポートします。