[レベル: 上級]
Microsoft は 検索エンジンの Bing で「AI Search(AI検索)」と呼ばれる新機能の試験を開始しました。
Windows Latest が報じています。
従来の検索から AI による要約への移行
Microsoft Bing の AI Search は、従来の青いリンクによる検索結果を AI による要約の回答に置き換えることを目的とした機能です。
従来の検索エンジンと ChatGPT のような会話型 AI モデルの間のギャップを埋めるという、Microsoft の広範な戦略の一環です。
Google や Bing など従来の検索エンジは、青いリンクとスニペットで構成されるリスト形式の検索結果を表示し、ユーザーがウェブを巡回しながら詳細情報を見つける形式です。
しかし、週 4 億人のユーザーを抱える ChatGPT のような AI チャットボットの人気が高まるなか、より直接的で要約された回答を求めるユーザーの傾向が強まっています。
こうした動向に合わせて、従来の検索エンジンとは異なるスタイルの AI 検索の開発に Microsoft は着手したのです。
検索結果に AI 生成回答を統合
Bing AI Search は、Copilot を活用したインターフェイスを採用し、AI による要約を従来の青いリンクよりも優先表示します。
既存の Bing の Copilot 統合は、専用のボタンを押すことで別のページに移動する仕組みでした。
対して、AI Search は検索結果ページ自体に AI を直接統合しています。
この新しい UX では、AI 生成の要約をユーザーに即座に提供することが可能です。
AI 検索エンジンの Perplexity にも類似したインターフェイスで、ウェブ上の情報を要約し、回答の下部に「情報源」として引用を明記します。
また、一部の回答には、直接ウェブサイトへアクセスできるリンクも含まれます。

AI 駆動型検索
Bing の AI Search は単なる要約にとどまらず、「thinking out loud(考えを声に出す)」という思想も取り入れています。
ユーザーが質問を入力すると、AI がクエリを分解し、さまざまな角度から分析した上で回答を生成します。
たとえば、[Is Windows 11 24H2 safe?](Windows 11 24H2 の安全性は?)と質問した場合、次のような観点を考慮してAI Search は要約を作成します。
- アップデートの安全性
- リスク
- 互換性
このプロセスにより、より包括的でニュアンスのある回答が提供されます。
またユーザーは、従来の検索結果表示に簡単に切り替えたり、画像や動画を検索したり、引用された情報源をクリックして詳細を確認したりすることも可能です。
さらに、ユーザーは従来のリンクをクリックせずとも、フォローアップの質問を通じて検索結果を絞り込むこともできます。
AI Search の現在の状況
Bing AI Search は現在、一部の地域でテスト段階です。
Microsoft 関係者によると「まずまずの品質」と評価されています。
Microsoft は試験運用を認めていますが、詳細や正式リリースのスケジュールについては明かしていません。
実験的な段階であるため、バグが発生したり、動作が遅かったり、誤った結果を出す可能性があるものの、今後の改善が期待されています。
また、Bingの「Copilot」ボタンは引き続き利用できます。
AI Search は、従来の Bing 検索と AI チャットボットの Copilot の機能を組み合わせた新しい検索体験として位置付けられていて、現時点ではデフォルトの検索モードに置き換わる予定はないとのことです。
ChatGPT Search や Perplexity のように、従来の検索エンジンとは違い、生成 AI が要約形式の回答を作り出す AI 検索が少しずつとはいえ使われ始めています。
現状では “アーリーアダプター” の利用が中心でしょうが、5 年、10 年の長いスパンで見るとキャズムを超える可能性も十分にあります。
その証拠に Google も、検索での AI モードを開発中で、社内テストが始まったといいます。
今年 5 月の Google I/O で脚光を浴びるような発表が Google からあるかもしれません。
Google はさておき、Bing の AI Search がどんなふうに仕上がるのかに注目です。
検索エンジンとしての長い歴史があるので、インデックスの範囲や速度という観点では、OpenAI や Perplexity よりは一日の長があります。
早く試してみたいですね。