[レベル: 初・中・上級]
この記事では、調査から判明したモバイル検索結果におけるユーザーの行動様式を紹介します。
Googleのモバイル検索調査
Googleが、モバイル検索でユーザーがどこに注目しどのように検索結果に満足しているかの調査をエモリー大学と共同で行いました。
結果と考察をまとめたレポートを公開しています。
調査結果から僕が重要に感じたところを抜き出します。
調査からわかったこと
下は調査の対象に含まれる典型的なパターンの検索結果です。
「phone viewport(フォン ビューポート)」とは、スマートフォンのディスプレイに表示されている範囲のことです。
つまりユーザーに見えているページの中のエリアです。
次のようなことがわかりました。
- 答えを提供する形式の結果が表示されたほうがユーザーは満足する
- ナレッジグラフの関連性が高いときはユーザーは答えをすぐに発見しタスクをより速く完了させる
- 一方、ナレッジグラフの関連性が低いときは答えを探すためにより長い時間を検索結果で費やす
- 関連性が高いナレッジグラフ結果が表示されたときは、(表示されないときよりも)スクロールが少なくなる
次のようなこともわかりました。
ナレッジグラフは視線を集める
左は関連性が高いナレッジグラフが表示されたときのヒートマップです。
右は関連性が低いナレッジグラフが表示されたときのヒートマップです。
色が付いている部分がユーザーが見た部分です。
寒色から暖色(青から赤)になるにつれより長い時間見つめていたことを示します。
ナレッジグラフに視線が集まり、長い時間見られています。
そしてナレッジグラフの関連性が高い検索結果では、ナレッジグラフの関連性が低い検索結果と比べると、ナレッジグラフよりも下をユーザーが見ていないことがわかります。
2位・3位のほうが1位よりも視線を集める
検索結果が2位と3位のほうが1位よりもビューポートに留まっている時間が長く見られている時間が長い傾向にあることが分かりました。
左のグラフは各順位がビューポートにとどまっていた時間とその割合です。
右のグラフは各順位が見られていた時間とその割合です。
2位と3位のほうが1位よりも長い・高いことがわかります。
これはモバイルユーザーの行動様式で説明できそうです。
上の図では、薄い黄色で覆われている部分がビューポートです。
つまりスマホのスクリーンに表示されているエリアです。
少しずつスクロールすることがスマホでは多いのではないでないでしょうか。
最初の検索結果を見て1回少しだけスクロールします。
すると1位は画面の上に隠れてしまいますが、2位と3位はまだ残っています。
再び少しだけ2回目のスクロールを実行します。
すると2位は隠れてしまうものの、3位は依然として残っています。
こんなわけで、2位と3位は1位よりも長い時間見られるようです。
ゴールデントライアングルは存在しない
デスクトップでは、視線は左から右、そして下に動くことが典型的です。
「ゴールデントライアングル」と呼ばれる視線を集めるエリアです。
しかしモバイルでは存在しません。
モバイル端末では、スクリーンの半分より上のエリアに視線が集中するのが典型です。
ビューポートに満足度と高い相関関係あり
ビューポートと、注視(長い時間見つめていること、レポートでは「Gaze Metrics」と呼んでいる)とユーザーの検索結果に対する満足度に高い相関関係が認められました。
ビューポートにとどまる時間が長いほど、長く見られているしユーザーはその検索結果に満足する傾向にありました。
レポートのハイライト部分だけの紹介でしたが、興味深いところがたくさんありました。
ナレッジグラフやアンサーボックスのように検索結果で答えを提供するタイプの仕組みが表示されたときは、特にそれが関連性が高かった場合、自然検索へのユーザーの興味を奪います。
つまり僕たちのウェブページをユーザーはクリックしなくなります。
PCと比べて表示範囲が小さいスマートフォンでは、SEOに取り組む僕たちの立場からするとナレッジグラフとアンサーボックスはPCよりもずっと脅威の存在になりそうです。
モバイル検索では2位と3位のほうが1位よりも見られているというのは予想しませんでした。
でも理由を聞けばそのとおりかもしれません。
ただ調査はビューポートと視線の動きを追っただけです。
サイトに訪問する実際のクリック(タップ)がどうだったかまではわかりません。
ビューポートの上半分に視線が集中します。
ビューポートに入らない5、6位以下は1ページ目であってもトラフィックを期待できない可能性があります。
ビューポートにとどまる時間が長いほど、見られている時間も長くなり検索結果に対する満足度が高くなるという相関関係が見られました。
ビューポートのデータを検索品質の評価にひょっとしたらGoogleは使うかもしれませんね。
英語が苦にならなければ、調査レポートをすべて読むといいでしょう。
この記事に書いていないもっと細かなことがわかります。