[レベル: 中級]
先週のWeb担当者Forumの連載コラムで、GoogleのJohn Mueller(ジョン・ミューラー)氏がGoogle+で共有した、HTTPS移行によくあるQ&Aをトップでピックアップしました。
このピックアップのフォローアップを僕のブログの記事で書きます。
HTTPからHTTPSに移行してもPageRankは失われない
HTTPSに移行する際には通常は、HTTPページからHTTPSページヘ301リダイレクトします。
301リダイレクトすると、若干ながらもPageRankが失われることから、HTTPSへの移行を躊躇する人がいます。
しかし、同一ドメイン名のサイトの場合においては、HTTPからHTTPSへ移行しても基本的にPageRankは失われません。
GoogleのJohn Mueller(ジョン・ミューラー)氏は、HTTPSページを優先的に検索結果に表示するようにインデックスシステムを変更したことをGoogle+でシェアしたとき、次のようにコメントしました。
たとえば httpとhttps のように重複しているとわかる2つのURLがあったとしたら、片方をもう片方よりも優先して私たちは取得する。そして通常は、(検索に関わる)シグナルを束ねて優先するURLにまとめる。wwwありとwwwなしのようなもので、たとえリダイレクトを設定していなかったとしても、優先されない方のURLに向けられたリンク(の評価を)失うことはない。
If we have two URLs (eg, http/https) that we know are duplicates, and we pick one over the other, then we’ll generally fold the signals together into that URL. It’s like www/non-www, you don’t “lose” the links that point at the alternate version, even if you don’t set up redirects.
http://example.com/page1.html と https://example.com/page1.html は、同一のURLとして評価をまとめてくれるとのことです。
たとえ、リダイレクトが未設定であったとしてもです。
したがって、HTTPからHTTPSへ移行することによるPageRankの喪失を心配する必要はないのです。
HTTPをHTTPSにただ移行するだけなら、PageRankは心配する必要がないことの1つだ。
when you’re just moving from HTTP to HTTPS, PageRank isn’t one of the things you need to worry about.
1年少し前に僕はこのブログをHTTPS化しました。
HTTPからHTTPSに301リダイレクトしています。
PageRankが本当に失われたかどうかを調べる手段はないのですが、移行後に検索トラフィックが下がった兆候は完全にゼロでした。
むしろ微増しました(HTTPS化によるものとは断定できない)。
たったの1例ではありますが、HTTPS移行によって検索トラフィックが必ず減少するわけではないことだけは言えるはずです。
302リダイレクトでもHTTPS移行に使える
一般的に、永続的なURLの変更になるため、HTTPSへの移行には301リダイレクトを用います。
ですが、HTTPS移行に際しては、302リダイレクトでも問題ないとのことです。
302リダイレクトは、一定期間が経過したのちリダイレクトを解除する予定がある、一時的なURLの移転に用います。
302リダイレクトでは、検索エンジンが転送元のURLに与えた評価は転送先のURLに引き継がれません。
したがって、PageRankも引き継がれません。
こう考えると、HTTPからHTTPSへの移行には302を使うべきではないように思えます。
しかしながら、HTTPS移行の場合は302でもPageRankはきちんと引き継がれるようです。
302リダイレクトがリンクジュース、つまりPageRankを渡さないというのは正しくない。それは都市伝説だ。
it’s incorrect that 302 redirects wouldn’t pass linkj Pagerank. That’s a myth.
HTTPS移行に限らず、状況によっては302リダイレクトを301リダイレクトとしてGoogleが処理するケースがあることは以前から知られていましたね。
そうはいっても、僕は個人的には301リダイレクトがしっくり来ますけどね。
rel=”canonical”をHTTPSページに向けることを忘れずに
気を付けたいのは、rel=”canonical”です。
302で問題ないとはいえ、rel=”canonical”は必ずHTTPSのURLに向けてください。
リダイレクトによってHTTPSに正規化されたとしても、rel=”canonical”によって今度はHTTPに逆戻りで正規化されてしまうことがありえます(これは、301の場合も同じこと)。
仮に302が301相当に扱われなかった場合でも、rel=”canonical”がHTTPSに向いていれば、評価はHTTPSページに移るのでバックアップ策にもなります。
HTTPS移行処理を速めるために、やること・やってはいけないこと
HTTPからHTTPSへの移行処理を速めるためにやったほうがいいこととやってはいけないことがあります。
アドレス変更ツールは使えない
Search Consoleのアドレス変更ツールを利用すると、サイトのドメイン名を変更したときのGoogleの処理を速めることができます。
しかしHTTPからHTTPSへの移行にはアドレス変更ツールは対応していません。
使いたくても使えないことを知っておきましょう。
URL削除ツールは絶対に使ってはいけない
HTTPのURLが検索結果に残っているからといって、URL削除ツールを使ってはいけません。
対応するHTTPSのURLもインデックスから消されてしまいます。
もし、HTTPをサイトごと削除リクエストすると(トップページの http://example.com/ を削除リクエストすると)HTTPSのサイトも丸ごとインデックスから削除されます。
HTTPSへの移行を速めようとしてURL削除ツールを使うのは、効果がないどころかひどいことになります。
クロール速度の上昇
ミューラー氏は次のようにコメントしました。
こんなふうな(HTTPSへの)移行に気付くと、速く処理できるように通常よりも多少速く再クロールしようとすることがある。そのうち落ち着くだろうが、クロール速度が速過ぎるならクロール速度の変更がSearch Consoleで使える。
When we notice a move like this, we’ll sometimes try to recrawl a bit faster than normal so that it can be processed quicker. It should settle back down & if it’s too much, use the crawl-rate limit in Search Console.
何にもしなくても、HTTPSへのURL変更を検出するとクロール速度が上がります。
僕のブログは実際に経験しました。
僕のブログのSearch Consoleでのクロールの統計情報です。
縦の赤線がHTTPSの移行を実行(301を有効化)したときです。
1日あたりのクロールしたページ数が突然増えているのがわかります。
そして次第に元に戻っています。
(ちなみに、前年の12月半ばに急落していますが理由は不明です。検索トラフィックには何も変化はなかったのでGoogle側で何かやったのかもしれません。)
クロール速度が速くてサーバーに過度な負荷がかかっているようなら、Search ConsoleのGooglebotのクロール速度の変更で下げることができます。
ただし、速度を上げてももっと頻繁にクロールされることはありません。
このツールでは、クロール速度を今以上に上げることはできないので注意してください。
HTTPのサイトマップを送信
処理を速くする目的に、HTTPのサイトマップを送信する方法があります。
サイトマップには通常、インデックスさせるURL、言い換えると検索結果に表示させたいURLを記述します。
404ページや、noindexページ、リダイレクト元ページは記述しません。
しかし早く再クロールさせて処理を速めるために、あえて記述することが可能です。
たとえば、noindexを早く認識させるために、noindexのURLをサイトマップに記述していいとGoogle社員も言っていました。
URL移転のヘルプ記事には次のように書かれています。
3. サイトマップとリンク リストを作成して保存する
最終的な移転に向けて次のリストを保存します。
a. マッピングの中の新しい URL を含むサイトマップ ファイル
b. マッピングの中の前の URL を含むサイトマップ ファイル
※赤強調は僕による
HTTPS移行も移転の1種です。
移転前のHTTPを記述したサイトマップを送信することで、再クロールを促せます。
ただし処理を速めるための一時的な処置なので、移行が完了と確信できたタイミングで僕なら最終的にはHTTPのサイトマップは撤去します。
以上です。
HTTPSへの移行を検討している人のお役に立てることを期待しています。