かなり以前に、Googlebombs(グーグルボム、グーグル爆弾)について解説したことがあります。
Googlebombsというのは、Googleのアルゴリズムを悪用した”いたずら”です。
ウェブページのコンテンツにはまったく関係のないキーワード(通常は悪意のあるキーワード)をアンカーテキストとしてリンクを張ることで、そのキーワードで標的にしたページを上位表示させます。
いちばん有名だったのは、「miserable failure(惨めな失敗)」で1位表示を獲得した、ジョージ・ブッシュ前大統領時のWhite Houseのホームページです。
当然、miserable failureなどというキーワードはホワイトハウスのサイトにあるはずがありません。
ブッシュ氏を批判する人、からかい半分の人たちが、miserable failureでリンクを張ったのが原因です。
しかし、Googleは約2年前に対策を講じ、すでにmiserable failureの検索では、ホワイトハウスはSERPに現れません。
ところが、Googlebombs問題は、完全には解消されていませんでした。
なんと、「failure(失敗)」では、上位表示されていたのです。
しかも、たちが悪いことに、failureはブッシュ前大統領時のホワイトハウスに向けられた爆弾だったのに、新しい大統領オバマ氏の就任の後も影響を保ち続けていました。
オバマ大統領は、経済恐慌、イラク派兵など諸諸の問題に加え、Googlebombsというインターネットでの負の遺産まで引き継いでしまったのです。
まったく無関係のGoogolebombsの被害を受けてしまったオバマ大統領ですが、喜ぶべき“グーグル爆弾”も投下されています。
「cheeful achivement(快い達成快挙)」というポジティブなキーワードでも、上位表示を達成しました。
と、これは2,3日前までの話です。
現在は、「failure」、「cheerful achivement」の検索ではともに、ホワイトハウスは消えています。
なぜかというと、Googleが対応をとったからです。
おなじみのGoogleのMatt Cutts氏がブログで、Googlebombsに対処するアルゴリズムの解説とともに明かしました。
まずは、Googlebombsを検出するアルゴリズムです。
こちらは、コンピュータのパワーを消費するので数カ月おきに実行されます。
検出したGooglebombsを沈静化するのが、2つめのアルゴリズムです。
こちらは常に実行されています。
Matt Cutts氏が言うには、Googleは2008年12月に1つめのアルゴリズムを実行したときには、「failure」でのGooglebombsを検出することができず、先週再実行して検知できたとのことです。
再実行したきっかけは、failureでホワイトハウスが1位になっていることに気づき、すぐに対応をとるべきだと指摘した、Danny Sullivan氏です。
今現在は、オバマ新大統領が主になっているホワイトハウスが、「failure」でSERPに登場することはありません。
「cheerful chievement」でも出ないのは、ちょっと残念かもしれませんが。(笑)
Googleは、Googlebombsの検出・削除はアルゴリズムによる完全な自動化処理に任せる方針で、仮に先週再実行した1つめのアルゴリズムで検出できなかったとしても、手動での対応は何もしなかっただろうとのことです。
最初のGooglebombsには、Googleは手動で対応していました。
他のサーチエンジンのGooglebombsの対応ですが(Googleではないので、Googlebombsというべきではないかもしれません)、この記事を書いている時点では、Yahoo!は依然としてホワイトハウスが1位です。
Yahoo!は、無関心なんでしょうかね?
Live Search(Microsoft)は、3日前まではホワイトハウスが1位でした。
しかし、今は消えています。
Microsoftからは、miserable failureでホワイトハウスが検索結果に出なくなったことについては、特に公式・非公式の情報は入ってきていないようです。
WebmasterWorldでも、この件は取り上げられていています。
同一のアンカーテキストで大量のリンクを意図的に張ることが、1つめのアルゴリズムに引っかかる可能性や、Googlebombsの対応が取られたのと-950ペナルティが観測され始めたのが同時期なことから、Googlebombs対応のアルゴリズムが、-950ペナルティを引き起こしているのではないかとの関連性が疑われています。