[対象: 中級]
3月の終わりに米サンディエゴで開催されたIA Summit 2014に参加しました。
IA Summit 2014は、僕がいつも行くSEO系のカンファレンスとは異なり、Inforomation Architecture(IA、情報設計)をテーマにしたカンファレンスです。
とはいえ、IAはSEOとも密接に関わってきます。
この記事では、IA Summit 2014でのSEOに関係するセッションをレポートします。
トピックは「サイト内検索」です。
フォーチュン500企業の上位50社と下位50社のサイト内検索の状態を調査した結果をもとに、サイト内検索に必要な9つの機能と要素を分析しています。
サイト内検索に必要な9つの要素・機能
グローバル検索ボックス
すべてのページに設置した検索ボックス。いつでもどこでも検索できる。
上位50社の11%が未実装。
検索ボックスがまったくないサイトもあれば、一部のカテゴリだけに設置しているサイトもある。
検索クエリを補正した結果を提示
たとえば”swim”で検索したら”swimming”も対象に含める機能、いわゆるStemming(ステミング)や同義語での検索。
上位50社の28%が未実装。
検索結果数の表示
該当する結果がいくつあったかを提示する。
上位50社の26%が未実装。
検索結果のタイトルに含まれている検索キーワードを太字で強調表示
視認性を上げるため。
上位50社の54%が未実装。
検索結果のスニペットに含まれている検索キーワードを太字で強調表示
視認性を上げるため。
上位50社の33%が未実装。
検索結果がゼロのときは、ヒントを与える
たとえば、サイトマップや問い合わせページなどヘのリンクを表示したり、スペルミスがないか、同義語やもっと一般的な言葉を使うようにアドバイスしたりする。
上位50社の30%が未実装。
オートコンプリート
入力途中でのキーワード候補の提示。
上位50社の65%が未実装。
推奨する検索結果を提示
そのクエリに対して適切と思われる結果を、(アルゴリズムによる自動の)検索結果とは別に提示する。
上位50社の70%が未実装。
検索結果の絞り込み機能
上位50社の59%が未実装。
9つの要素・機能の実装状況
- 上位50社のうち45社が平均して9つの要素のうち5つを実装していた。
- 下位50社は平均して4つの要素を実装していた。
- 実装している要素が少ないほど検索結果の質が低くなる傾向にあった。
サイト内検索を疎かにしているのはなぜか? 考えられる理由
- 検索システムのチューニングが難しい
- つまらない
- どんな要素・機能が必要かが状況によって変わってくる
- IT部署は独自の検索ツールを持っている
- サイト内検索やアナリティクスをだれも詳しく見ない
- ベンダーの検索ツールが貧弱
- Googleがデフォルトになっている
- サイト内検索が導入する時には代理店がいなくなっている
- コンテンツやメタデータが悪い
他にもありそう。
認識すべき大切なこと
- 検索はWebの体験において非常に重要
- IAはより良い検索を提供する必要がある
- IAは検索ツールのベンダーからより良いツールや製品を提供させる必要がある
- IAはデザイン以上に、検索の分析と検索の品質測定に向かわなければならない
サイト内検索のチューニングは後回しにされがちです。
大手企業であっても、重要視されていないことが分かりました。
またサイト内検索はECサイトで使われるもので、それ以外のジャンルのサイトではほとんど利用されないと考える人もいそうです。
しかしそんなことは決してありません。
サイト内検索を提供していても、推測できる理由の1つとして挙げられていたようにサイト内検索が使われているかどうかを調べないサイト管理者も多いことでしょう。
求めている情報にユーザーがすぐにたどり着けるようにするために「サイト内検索」はとても重要な要素です。
ユーザーエクスペリエンスの向上に大きく貢献します。
セッションスピーカーは、最後に次のように締めくくっていました。
フォーチュン上位50社の2013年の収益は5.7兆ドル。年間で100万ドルを検索に消費したとしても業績に悪影響を与えることはほとんどないはず。
目に見える部分だけではなく表には出ない部分にも投資すべき。
僕たちには、フォーチュンに選ばれる大企業ほど大きな売上はないとしても、サイト内検索の最適化には積極的に投資していきたいものです。
結果的には売上アップに繋がります。