米大手デパートサイトが有料リンク購入でGoogleペナルティ

米国の大手デパートチェーンのJCPenny(J.C.ペニー)のオンラインショッピングサイトが有料リンクを購入しGoogleのガイドラインに違反したため、ペナルティを受けました。

自動化されたアルゴリズムと人間による手動の両方の処置で順位下降のペナルティが与えられています。

ことの成り行きは次のとおりです。

米New York Timesによる発見

米New York Timesの ’The Dirty Little Secrets of Search‘という記事によってJCPennyへのペナルティが公になりました。

“dresses”(ドレス)や”bedding”(寝具)、”area rugs”(ラグマット)などの数々のビッグキーワードで軒並み検索順位1位またはそれに近い順位にJCPennyが位置していることを不審に思ったNew York Timesは、オンラインマーケティングの専門家に調査を依頼しました。

すると、明らかに作為的に張られたとしか思えないリンクが大量に発見されたのです。
管理者不在でほとんど放置されたような、まったく無関係のサイトからキーワードだけをアンカーテキストにした多数のリンクをはじめ、リンク購入の形跡が見られました。

Googleへの通報とペナルティ発動

New York Timesは、JCPennyがリンクを購入している証拠をGoogleに提出し、Googleのスパムチームのリーダー、Matt Cutts(マット・カッツ)氏とインタビューすることに成功しました。

Matt Cutts氏は、JCPennyが有料リンクを購入しGoogleのガイドラインに違反していることを確認したうえで、アルゴリズムの変更と、さらに手動によるアクションによって対処したことを伝えています。

2月1日時点で平均1.3位だった53個のキーワードは、アルゴリズムが変更された後の2月8日時点では4位に落ち、2月10日時点では52位にまで下がっています。

JCPennyの対応

事実を告げられたJCPennyは当然困惑します。
有料リンク購入は自らの意思ではなく、SEOを依頼していた業者が無断で行っていたようです。
リンクを買っていた事実はまったく知らされてなかったとのことです。
当然、このSEO業者はクビにしています。

今回の事件では、ランキングを操作するための有料リンクに対するGoogleの厳しい対応をあらためて見せつけられました。
大手のサイトであろうが関係ありません。

またJCPennyは1ヶ月に246万ドル(約2.1億円)もの広告費をAdWordsに投入している、Googleにとっては大口の広告主です。
特別扱いはしないということですね(優良顧客だったから見て見ぬふりして対応が遅れたという指摘があるし、オーガニックの順位を下げてPPCにもっと予算とつぎ込ませるという魂胆との見方もできますが)。

JCPennyの自然検索からのトラフィックは全体の7%程度とのことで大打撃にはならないとも思われますが、それでも”dresses”だけでも米国からの380万件以上のアクセスを1ヶ月につき失うことになるだろうとNew York Timesは推測しています。

JCPennyのリンク購入によるビッグキーワードでの上位表示はホリデーシーズン前には成功していたそうで、多大な利益を手にしたことでしょう。
でも、見つかった後のペナルティ制裁で相殺されてしまいそうです。
知らなかったとはいえ、企業の信用や評判に多少なりとも傷がつくかもしれません。

リンク購入は常に危険と隣り合わせです。

P.S.
今回のJCPennyへのペナルティに関わったアルゴリズム変更や、Googleはもっと以前からJCPennyの怪しいリンクに気付いていながら対応に失敗していたこと、Googleが無関係なサイトからの単一のアンカーテキストのリンクを依然として評価してしまっていることなど付随する情報がいくつかありますが、また機会をあらてめて記事にします。
…たぶんw