[レベル: 上級]
Google の Matin Splitt(マーティン・スプリット)氏が、Search Engine Journal とのウェビナーで Passage Indexing に関するさまざまな質問に答えました。
Passage Indexing は、上手に構成されていない記事の中に埋もれてしまっていて、今までだったら認識できなかった有用な情報を探し出すことに役立ちます。
野菜ページの中のトマトを見つけ出せる
通常 Google は、そのページが何について書かれたページなのかを特定します。
基本的に、1 つのトピックをそのページに割り当てます。
中心トピックはそのページのメインとなる部分で判断します。
ヘッダーやフッター、サイドバーあるいは Cookie 許可のバナーなどは無視します。
たとえば、このページは「トマト🍅」についてのページ、このページは「キュウリ🥒」についてのページ、このページは「アボカド🥑」についてのページといった具合です。
一方で、同じページで、トマトやキュウリ、アボカドほかさまざまな野菜について書かれたページはどうでしょうか。
おそらく「野菜(全般)🍅🥒🥑🍆🥕🧅🥬」についてのページとして認識します。
ある品種のトマトのラテン語の名前の由来が気になったユーザーが検索したとします。
長い記事の野菜ページのほんの一部分に、そのクエリに非常に関連する情報が載っていたとします。
トマトという観点から評価すれば、関連性が高いのは野菜よりもトマトにテーマを絞ったページです。
今までであれば、トマトに絞って書かれたページをGoogle は上位表示してしまっていました。
しかし、その特定のトマトの品種のラテン語名の由来に限定すれば、野菜ページの一部分のほうが関連性が高いのです。
Passage Indexing によって Google は、その特定の一部分を見つけ出しランキング付けできるようになります。
自然言語処理の能力向上(たとえば BERT の検索システム導入)の賜物です。
Passage Indexing は、ページのコンテンツを細かに分けてインデックスするわけではありません。
今までどおり、ページ全体を 1 つのまとまりとしてインデックスします。
しかし、ランキングに関しては、もっと細かな粒度で評価できるようになったのです。
この観点からすれば、Passage Indexing ではなく Passage Ranking と呼ぶべきです(と、マーティンは主張しています)。
Passage Indexing は埋もれたコンテンツを探せる
さまざまなトピックを詰め込んだ長文が Passage Indexing によって有利になるのでしょうか?
論理的に考えればそうなるのかもしれません。
しかし、Passage Indexing の本来の目的は違います。
適切に構成されていないコンテンツ、たとえばあれについてもこれについても書かれていてメイントピックが定まっていないページがウェブにはたくさん存在します。
従来のシステムでは評価の対象にするのが難しかった埋もれたコンテンツを探し当てて検索結果の上位に表示することが Passage Indexing の目的です。
SEO に取り組んできている僕たちは、トピックを明確にしてページを作成します。
あれもこれもと欲張ったりはしません。
きちんと構成してコンテンツを組み立てます。
このやり方でまったく問題ありません。
Passage Indexing 対策と称して無理やり長いページを作る必要はまったくありません。
むしろ、中心テーマがぼやけてしまい評価が下がるクエリが出てきそうです。
説明したように、上手に構成されていなかったりトピックが明確に絞れていなかったりするコンテンツの中に埋もれてしまっている情報を探すことをPassage Indexing は可能にしました。
むしろ、SEO など意識していないサイトの手助けになると言ってもいいかもしれません。
導入時期は来年の可能性も
当初の発表では Passage Indexing は 11 月の導入ということでした。
しかしながら、マーティンによれば、12 月、ともすれば来年の導入になるだろうとのことです。
まずは米 Google の英語検索からになるので、日本での導入はまだしばらく先になりそうです。
ウェビナーの動画を埋め込んでおきます。
この記事で解説したこと以外にも、Passage Indexing についてのいろいろな疑問にマーティンは回答しています。
SEO の研究に余念がない人は視聴するといいでしょう(この記事で取りあげた🍅のたとえ話は 32:04 あたりからです)。