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RankBrain(ランクブレイン)と呼ぶ、AI (Artificial Intelligence: 人工知能) をベースにしたアルゴリズムをGoogleは数か月前から導入しているそうです。
Googleのシニア・サーチ・サイエンティストのGreg Corrado(グレッグ・コラード)氏が、Bloombergによるインタビューのなかで明らかにしました。
RankBrainの導入によって、ユーザーの検索クエリをより的確にGoogleは解釈できます。
RankBrainとは
インタビューからわかるRankBrainの特徴をまとめます。
AIベース
通常のアルゴリズムはGoogleのエンジニアがコードを書いて完成させます。
改良、改善するにはコードの修正が必要です。
自ら変化することはありません。
しかしRankBrainはAIがベースになっていて、学習していきます。
すなわち僕たち人間のように、学習を重ねて徐々に賢くなっていく能力を備えています。
自ら変化(進化)していくのです。
Googleのエンジニアですら、どうしてその検索結果になるのかを完璧に説明するのは難しいのではないでしょうか。
【UPDATE】
最後の僕の想像に関しては、必ずしもそうではないみたいです。
推測不可能ではなく、エンジニアの期待どおりに機能しているとのことです。
@glenngabe it's not. The team was working on it for months and its effects are expectable, not assumable.
— Gary Illyes (@methode) 2015, 10月 26
優れたクエリ解釈
言語やクエリを解釈する能力に優れているのがRankBrainの大きな特徴の1つです。
曖昧な言葉や口語も的確に理解します。
人間が持つ直感や推測に似た力も持っています。
たとえば混雑したバーで会話していて、すべてを聞き取れなくても会話ができるようなものです。
たとえ以前に一度も受け取ったことがないクエリであったとしてもその意味を推測し、的確に処理していきます。
従来のアルゴリズムとは異なった方式でクエリを解釈します。
15%のクエリを処理
Google検索で1秒間に数百万発生するクエリのうちの大部分が、過去数か月間にわたってRankBrainによって解釈されてきました。
率で言うと、15%のクエリがGoogleが今までにそれまでに見たことがないクエリで、RankBrainがそれを処理してきたとのことです。
またRankBrainは、ワールドワイドで導入されています。
つまり日本語にも導入されているということになります。
3番目に重要なアルゴリズム
展開が始まってから数か月がたち、RankBrainは、検索クエリに対する結果に寄与する、3番目に重要なアルゴリズムになった。
Corrado氏はこのように言っています。
Googleは数百もあると言われるアルゴリズムで検索ランキングを決定しています。
そのなかの3番目に重要なアルゴリズムとしてRankBrainがさっそく入りこんだようです。
ちなみに1番目と2番目が気になりますね。
PageRankと、もう1つは何でしょう?
本当にランキングシグナル?
Corrado氏の説明とBloombergの記事だけを頼りにすると、RankBrainはランキングに直接関わるアルゴリズムではないように思えます。
ランキングを決定するというよりもその手前の段階、クエリを解釈するプロセス、言い換えるとユーザーが何を探しているのかを理解する時に働いているっぽいからです。
最終的なランキングに間接的には関わるとしても、ページやサイトを評価するプロセスには関わっていないようにも思えます。
ランキングを決定する要因として、僕たちSEO界の人は“シグナル (signal)” という用語を使いますが、Corrado氏はもっと幅広い意味で使っているのかもしれません。
RankBrainに対応するには?
ここまで、RankBrainについてわかっていることをまとめました。
さて、僕たちサイト管理者はRankBrainにどのように対応していけばいいのでしょうか?
なんといっても、AIベースの新しいアルゴリズムです。
それ相応の特別な施策が必要になってきそうです。
結論を言えば、何もする必要はありません。
何もしないというのは語弊があるかもしれません。
RankBrainアルゴリズムに対して、SEOの今までの方針を変える必要はないという意味です。
Googleが最終的に追求しているの検索ユーザー体験の向上です。
アルゴリズムの改良や新しいアルゴリズムの導入はすべてこの目的を達成するためにほかなりません。
どんなアルゴリズムが導入されようと、僕たちがSEOに取り組むうえで常に意識しておくべきことは次の2つです。
- ユーザーの役に立つコンテンツとユーザーに使いやすいサイトを提供する
- 検索エンジンと相性がいいサイトを構築する
この2つを守り、ユーザーの検索意図に合致したコンテンツを作りそれをしっかりとGoogleにインデックスさせることができていれば、アルゴリズムによって適切に評価されて検索結果に表示されます。
それどころか、今回のRankBrainアルゴリズムはプラスに作用するでしょう。
つまりやるべきことをやっていればRankBrainなんて気にしなくていいのです。
じゃあこんな記事を書くなと言われそうですが、SEOブログなので無視することはできません。
むしろ僕が注目しているのは、“RankBrain完全対応”を謳うコンテンツサービスや被リンクサービスをどこのSEO業者が始めるのかと、「GoogleがRankBrainを導入! SEOはオワタ」系のバズ狙いの記事を誰が書くかですかね。