[レベル: 中級]
ランキングの低下は必ずしも、アルゴリズムによるスパム判定によるものとは限りません。
検索ユーザーに役に立たないと判断されたなど他の要因に起因する場合も多くあります。
順位下落する原因
サイトの順位が著しく下がったけれど、手動対策の通知が届いていないので再審査リクエストができない。インデックス削除されてもいいような、もっとスパムっぽいサイトが上位表示されている。
こんな不平に対して、Google 検索の広報担当である SearchLiason の X 公式アカウントが長い投稿で返答しました。
2 つの異なる問題があります。1 つは、サイトがアルゴリズムによるスパム判定を受けている可能性。もう 1 つは、スパムとは無関係のシステムが、そのサイトを有益でないと判断している可能性です。
これまで多くのサイトを見てきましたが、ランキングが下がり、アルゴリズムによるスパム判定だと自分では判断していたものの、実際はそうではなかったケースが多数ありました。だからこそ、Search Console で情報を共有することには賛成です。もしかすると、Search Console を開いた時に、手動対策のように、アルゴリズムによる対策の通知が表示されるようになるかもしれません。先週も検索チームとこの件について話し合ったばかりで、再度検討する予定です。
これは新しいアイデアではありません。しかし、2 つの大きな課題があります。まず、本当に悪質なスパム行為を行うサイトが存在します。心当たりのない方は、おそらくその通り(スパムをやっていない)でしょう。悪質なスパム行為を行うサイトは、自覚しています。そして、アルゴリズムが何をスパムとみなすかを教えてしまうと、彼らはそれを調整して悪用しようとするでしょう。これは、検索ユーザーにとっても、他のサイトにとっても良いことではありません。
次に、アルゴリズムによるペナルティを手動で解除する方法はありません。アルゴリズムは特定のサイトに焦点を当てているわけではなく、サイトのリストを持っているわけでもありません。「このコンテンツ全体で、このようなパターンが見られるため、一般的にスパムとみなす」というようなパターンを自動的に理解しているのです。したがって、手動対策のように、特定のサイトを「削除」する方法はありません。
手動対策であれば、再審査リクエストして解除することができますが、アルゴリズムによる対策の場合は、何が問題なのか分からず、誰に相談すればいいのかさえ分かりません。まずは、メールの「スパムではない」ボタンのように、「スパムではない!」と報告できる仕組みを作れないかと考えています。これらの報告をまとめて利用することで、自動スパムシステム全体の改善に役立てることができるかもしれません。もちろん、実際にスパム行為をしている人が同じように報告する可能性があるため、どのように役立つシステムを構築するかは検討が必要です。これは、社内でさらに議論を進めたいと考えていることの 1 つです。
また、「手動対策の方が簡単なのに」とは思わないでください。個々のサイトがスパム分析担当者の目に留まることは、決して望ましいことではありません。第一に、手動対策は即座に処理されるわけではありません。第二に、特にサイトが変化したと主張しているにもかかわらず、実際には変わっていない場合は、そのサイトについて今後も注意深く監視することになります。
スパム以外の話題に移ると、個々のコンテンツやサイトがどれだけ有益で、役に立ち、信頼できるかを判断しようとするさまざまなシステムがあります(そして、これらは完璧ではありません。これまで何度も言ってきましたが、「でも……」「こんな場合は……」という声が聞こえてきそうです)。影響を受けていると考える人の中には、Search Console で見られるのと同じデータを見ていますが、実際には影響を受けていない人もいます。なかには、非常に良いランキングを維持している人もいます。しかし、わずかな順位変動でもトラフィックの減少が目立ち、根本的な問題があると勘違いしてしまう人もいます。そこで、トラフィック減少のデバッグに関するページに、この問題についてのセクションを追加しました。
https://developers.google.com/search/docs/monitor-debug/debugging-search-traffic-drops#smallしかし、明らかに大幅な下落を経験しているサイトも存在します。Search Console でこれらの指標をもっと表示できないかと考えているのは、私だけではありません。これは、スパム対策と同様に、システムが悪用されないようにすること、そして、「私たちの自動システムよりも実際に役立つコンテンツだから、もっと上位に表示して!」というようなボタンを押すことができないという課題があります。しかし、誰にとっても役立つ形で、より多くの情報を共有する方法があるかもしれませんし、より良いガイダンスと組み合わせることで、コンテンツ制作者の助けになるかもしれません。
ずいぶん長くなりましたが、最後に、ここ数か月にわたってフィードバックをじっくりと見て、サイトを深く掘り下げ、考えをまとめて社内で議論してきました。素晴らしいコンテンツを熱心に制作しているにもかかわらず、私たちのシステムがそれを十分に認識していない「小規模」または「独立系」と呼ぶべきサイトが存在することを、私は十分に認識しています(もちろん、システムがしっかりと認識している質の低いコンテンツもたくさんありますし、素晴らしいコンテンツで非常に良い成績を収めているサイトもたくさんあります。ただ、素晴らしいコンテンツで成功している人たちは、ソーシャルメディアなどでそのことをあまり語りたがらない傾向があります)。
私が言及した、素晴らしいコンテンツが十分に認識されていないサイトに対して、私たちがもっと良い対応ができるようにしたいと考えています。もしかすると、他の人が学んだかもしれない役に立たないことから、より良いガイダンスによって遠ざけることができるかもしれません。もしかすると、より良いレポートを提供することで改善できるかもしれません。そして、他にも試せるかもしれないことをいくつか考えています。
もちろん、これは一夜にしてできることではありませんし、私一人でできることでもありません。私が主に担当していることでもありません。私は他のチームと協力し、提案と奨励、推薦を行いますが、最終的には他のチームが承認しなければなりません。そして、彼らはさまざまなトレードオフや他の事項も考慮しなければなりません。しかし、私ができること、そしてこれまで行ってきたこと、そしてこれからも続けていくことは、外部からのフィードバックを受け取り、それを様々なチームに伝え、みんなにとって役立つと思う方法で、擁護と推薦を行うことです。
Two different things. A site could have an algorithmic spam action. A site could be not ranking well because other systems that *are not about spam* just don't see it as helpful.
I've looked at many sites where people have complained about losing rankings and decide they have a…
— Google SearchLiaison (@searchliaison) May 13, 2024
重要な点まとめ
1本のブログ記事に匹敵するような長い投稿です。
重要な点をまとめると次のようになるでしょうか。
- ランキング低下は、アルゴリズムによるスパム対策だけが原因とは限らず、コンテンツの有用性や信頼性を評価する他のシステムが原因の場合もある
- 手動対策と同様に、アルゴリズムによる対策の影響を受けたウェブサイトに Search Console で通知するなど、より透明性を高めたいという要望がある
- ただし課題もある。スパムのパターンに関する情報を公開しすぎると、悪意のある人がシステムを悪用する可能性がある
- スパムではないと報告できるようにするなどの選択肢を検討し、自動システムを時間をかけて改善していくつもり
- スパム以外にも、Googleの システムが小規模または独立系のサイトの高品質なコンテンツを認識できない場合があることを認識している
- Search Consoleでより多くのガイダンスとレポートを提供し、これらのサイトを支援する方法について議論されているが、考慮すべきトレードオフがある複雑な問題でもある
順位が下がった時にスパム判定されたという声をしばしば耳にしますが、実際にはそうでないケースは多いものです。
とはいえ、手動であろうがアルゴリズムであろうが、順位が下がったことに変わりはありません。
順位が大幅に下がった理由を Search Console で教えてくれる仕組みは、ぜひ導入して欲しいものです。
しかしながら、スパマーに悪用される懸念があり実現は簡単ではないことも理解できます。
淡い期待を胸にして待ちましょう。