[レベル: 初〜中級]
別の URL へリダイレクトし、その URL からまた別の URL へリダイレクトする。
そして、また別の URL へリダイレクトする。
こんなふうにリダイレクトを繰り返すことが技術的には可能です。
ドメイン名の変更によるサイト移転が2回、3回行われた場合や CMS を複数回変更した場合などに発生しがちです。
リダイレクトの繰り返しはどのような影響を SEO に与えるのでしょうか?
結論を言えば、リダイレクトを繰り返したとしても、Google 検索のランキングに悪影響を与えることはありません。
しかしユーザー体験の観点から見ると、ページの表示が遅くなるのでリダイレクトは最小限に抑えることが推奨されます。
リダイレクトの繰り返しは問題になるのか?
リダイレクトを繰り返すとランキングに悪影響が出るのでしょうか?
この質問に対して、Google の John Mueller(ジョン・ミューラー)氏は次のように回答しました。
いや、リダイレクトの繰り返しが問題になることはない。
一般的に言えば、ユーザビリティのためにはリダイレクトの数を減らすことを推奨している。可能ならば、最終の URL に(直接)リダイレクトしたほうがいい。
とはいえ、PageRank や、そのほかのランキングシグナルの受け渡しに関しては、リダイレクトの繰り返しは問題にはならない。
1つ覚えておくことがあるとしたら、5回までのリダイレクトを私たちはその場でたどるということだ。リダイレクトが5回を超えると、次のクロールのサイクルに回される。
重要だと考えている URL が、5回より多くのリダイレクトを経ているなら、修正した方がいい。
リダイレクトの繰り返しは、特にモバイルでは表示速度が非常に遅くなる。
SEO への悪影響なし
以前は、Google の検索アルゴリズムの仕様では 301リダイレクトによっていくばくかの PageRank が失われました。
気にするほどではないにしても、評価の受け渡しに“損失”が生じていたのは事実です。
しかし、現在は、この仕様は使われていません。
301でも302でも、リダイレクトによって PageRank が失われることはなくなっています。
したがって、「ランキング」という観点だけから見れば、リダイレクトの繰り返しは悪影響を与えないでしょう。
Google は5回までリダイレクトに従う
リダイレクトの繰り返しが可能だとしても、無制限にリダイレクトしていたら、Googlebot のクロールが止まりません。
永遠にクロールを続けてしまいます。
そこで、Googlebot は、5回までリダイレクトをたどります。
それ以上は、クロールしません。
もっともこれは、Google 独自の仕様ではなく RFC が定めた仕様です。
ミューラー氏の発言で僕が気にかかったのは、5回を超えたリダイレクト先の URL の扱いです。
Google の公式ドキュメントには、5回を超えると「リダイレクトした後、停止して 404 として処理します」と書かれています。
ところが、ミューラー氏はすぐにはクロールしないが、後日、たとえば明日のクロールに回されるとコメントしています。
404 を返す URL でも Googlebot は半永久的にクロールします。
なので、タイミングは遅くなるけれど、5回よりも多くを経過したリダイレクト先の URL であったとしてもいずれはクロールされるということですかね。
とはいえ、クロールされたとしてもインデックスがかなり遅れそうなので、決して良いことではないですね。
ユーザー体験には悪影響あり
SEO に悪影響がなかったとしても、リダイレクトの繰り返しはユーザー体験には悪影響を与えます。
リダイレクトごとに遅延が発生するため、表示速度の低下を招きます。
Wi-Fiで繋がっているときは気にならないでしょうが、スマホからデータ回線で繋いでいるときは、体感するほどに遅く感じさせる要因になるかもしれません。
遅いサイトをユーザーは嫌います。
1秒から7秒に表示速度が遅くなると、直帰率が 113% 悪化するという予測データを Google は最近公開しました。
したがってユーザー体験を重視するなら、リダイレクトの繰り返しは最小限に抑えるべきです。
基本的には、最終の URL に直接向けて、1回のリダイレクトで済ませるようにします。
まとめると、リダイレクトの繰り返しがランキングに悪影響を与えることはありません。
しかし、クロールとユーザービリティの観点からは、リダイレクトは最小限に抑えることが推奨されます。
理想は、最終 URL に向けた1回だけのリダイレクトです。