レスポンシブ・ウェブデザインは上位表示に有利ではない、デメリットもある

[対象: 中〜上級]

レスポンシブ・ウェブデザイン

Googleが推奨するモバイルサイト構成はレスポンシブ・ウェブデザイン

Googleは3つのタイプのモバイルサイト構成をサポートしています。

  • レスポンシブ・ウェブデザイン(同じURLと1つのHTML/CSS)
  • 動的な配信(同じURLと別々のHTML/CSS)
  • モバイル専用のURL(異なるURLと別々のHTML/CSS)

このなかで、Googleがもっとも推奨する構成が1つ目のレスポンシブ・ウェブデザインです。

レスポンシブ・ウェブデザインには大小さまざまなメリットがあります。
なかでも、URLが1つ、リダイレクト設定が不要というのがいちばん大きなメリットでしょう。

重複コンテンツを生まないし、リダイレクトによるミス(Googleの人によれば非常に多いらしい)も発生しません。

検索エンジンにとっても都合がいいのがレスポンシブ・ウェブデザインになります。

レスポンシブ・ウェブデザインはランキングに影響しない

レスポンシブ・ウェブデザインを推奨しているからといって、レスポンシブ・ウェブデザインを採用したサイトをGoogleが優遇して上位表示させることはありません。

正しく設定できていれば、3つの構成はどれも平等に扱います。

スマートフォンから検索したときに、レスポンシブ・ウェブデザインのページのほうが検索結果が上になることはあるのか?

上の質問にGoogleのJohn Mueller(ジョン・ミューラー)氏は下のように答えました。

いいや、Googleは、そんなふうにはサイトを差別化しない。

あなたのレスポンシブ・ウェブデザインのサイトをスマホユーザーが気に入って友だちに勧めるといったような間接的な影響があるかもしれないが、ランキング要因としては使っていない。

ただし、スマートフォンの検索結果を調整するためにありがちな構成ミスをランキング指標として使い始めている。

レスポンシブ・ウェブデザインはランキング決定の要因にはなりません。

(SEO外の)レスポンシブ・ウェブデザインのデメリット

SEOから離れた視点で見た、レスポンシブ・ウェブデザインの代表的なデメリットを3つ挙げてみます。

  • スピードが遅りがち
  • スマートフォン専用のコンテンツを作りづらい
  • 開発にコストがかかる

スピードが遅くなりがち

表示速度が遅くなりやすい傾向にあるのが、レスポンシブ・ウェブデザインのいちばん大きなデメリットになるでしょう。

モバイル向けのデザインで表示するとはいえ、サーバーから返ってくるHTMLやCSSは共通です。
PCからとまったく同じようにすべてのコードを読み込みます。

表示されないメニューや画像があったとしても、モバイルのブラウザで表示されないだけであってバックグラウンドでは読み込んでいます。

モバイルユーザーはスピードを求めていて、Above the foldのコンテンツを1秒以内に表示させることをGoogleは推奨しています。

回線速度の遅いモバイルネットワークではページの読み込みに時間がかかり、訪問ユーザーの不満の原因になるかもしれません。

また若干ではあるけれど、表示速度はランキングにも影響していそうです。

レスポンシブ・ウェブデザインには、併せて、スピードアップのための施策が必要不可欠です。

Above the foldのコンテンツの表示スピードアップに焦点を絞ったテクニックを先週紹介しました。

スマートフォン専用のコンテンツを作りづらい

サイトのジャンルによっては、PCユーザーとモバイルユーザーが求めているコンテンツに大きな違いがあることがあります。

スマホユーザーに特化したコンテンツやシステムの開発が容易でないケースも存在します。

先週のWeb担当者Forumのコラムでピックアップしたので、まだの人は読んでください。

開発にコストがかかる

必ずしもということではありませんが、他の構成と比較してより多くのお金と時間のコストが開発にかかることがあります。

既存のサイトをレスポンシブ・ウェブデザインに変更するときは、コードの大部分を改修しなければならないかもしれません。

レスポンシブ・ウェブデザインはCSSメディアクエリのように新しい仕組みを利用しています。
社内でサイトを制作しているなら、レスポンシブ・ウェブデザインに必要な新しい技術を開発者が身につけなければなりません(もっともレスポンシブ・ウェブデザインに限らず、新しい技術の習得にエンジニアは日々いそしんでいるはずでしょうけどね)。

まとめ

ということで、この記事ではレスポンシブ・ウェブデザインについて以下の2点を伝えました。

  • SEOの観点から見た場合は、レスポンシブ・ウェブデザインだけが要因で上位表示に有利になったりしない
  • ユーザーエクスペリエンスや開発の観点から見て、マイナス面が存在する

ただこうは言っても、僕はレスポンシブ・ウェブデザイン推進派です。

SEOの世界に生きる人間なので検索エンジンのことを考慮すると、URLが1つで済む・リダイレクトが不要、この2つは重要なポイントになるからです。

トラブルの要因は少ないに越したことはありません。

表示速度に関しては、従来からある高速化の施策にプラスして、RESSなんていう新しい技術も提唱されていますね。

レスポンシブ・ウェブデザインではモバイルユーザーのニーズに十分に対応できないという状況でなければ、レスポンシブ・ウェブデザインの採用を僕はおすすめしています。