[レベル: 上級]
Googleは、ローカルビジネス情報をschema.orgで提供する仕様を構造化データの開発者向けサイトで公開しました。
名称や住所などの各種情報をローカルナレッジパネルに表示したり、そこから注文や予約といったアクションを実行させるたりすることができます。
ローカルビジネス情報をschema.orgでマークアップ
schema.orgの LocalBusiness でマークアップすることにより、あなたが営むローカルビジネスに関する情報を正確かつ詳細にGoogleに伝えることができます。
たとえば、正しい名前や住所、電話番号を定義できるし、メニューが書かれているURLや営業時間を伝えられます。
こうした情報は、検索結果のナレッジパネルに表示されます。
schema.org/LocalBusinessで利用できる次のプロパティが必須または推奨、任意です。
- name(名称、必須)
- address(住所、必須)
- geo(経度・緯度、推奨)
- telephone(電話番号、推奨)
- potentialAction(アクション、任意)※詳細は後述
- openingHours(営業時間、推奨)
- menu(メニュー、任意)※飲食店のみ
- acceptsReservations(予約の可否、任意)※飲食店のみ
- department(部課・売り場、任意)※同じ場所で、部課や売り場などを別々に定義したい場合
実際にマークアップした例をデベロッパー向けドキュメントで見ることができます。
ニューヨークにあるDave’s Steak Houseというステーキレストランの例です。
<script type="application/ld+json">
{
"@context":"http://schema.org",
"@type":"Restaurant",
"name":"Dave's Steak House",
"address":{
"@type":"PostalAddress",
"streetAddress":"148 W 51st St",
"addressLocality":"New York",
"addressRegion":"NY",
"postalCode":"10019",
"addressCountry":"US"
},
"geo":{
"@type":"GeoCoordinates",
"latitude":40.761293,
"longitude":-73.982294
},
"url":"http://www.example.com/restaurant-locations/manhattan",
"telephone":"+12122459600",
"openingHoursSpecification":[
{
"@type":"OpeningHoursSpecification",
"dayOfWeek":[
"Monday",
"Tuesday"
],
"opens":"11:30",
"closes":"22:00"
},
{
"@type":"OpeningHoursSpecification",
"dayOfWeek":[
"Wednesday",
"Thursday",
"Friday"
],
"opens":"11:30",
"closes":"23:00"
},
{
"@type":"OpeningHoursSpecification",
"dayOfWeek":"Saturday",
"opens":"16:00",
"closes":"23:00"
},
{
"@type":"OpeningHoursSpecification",
"dayOfWeek":"Sunday",
"opens":"16:00",
"closes":"22:00"
}
],
"menu":"http://www.example.com/menu",
"acceptsReservations":"True"
}
</script>
シンタックスにはJSON-LDを使うようにGoogleは勧めています。
補足があります。
デベロッパー向けドキュメントでは、@id プロパティが必須と書かれています。
しかし例には存在しません。
ひょっとしたらなくても大丈夫なのかもしれません。
一方で、この後に説明するPlace Actions (potentialAction) の例には含まれています。
Place Actionsの設定では必須なのかもしれません。
デベロッパー向けドキュメントでは、特定の曜日だけ営業時間が異なったり特定の期間だけ営業時間が異なったりする場合の記述例も挙げています。
また、同じ住所の中で部課や売り場が分かれていて、それぞれのローカルビジネス情報を設定したい場合の記述例も挙げています。
ローカルビジネスのナレッジパネルに表示される名称や住所、電話番号などの情報はGoogleマイビジネスに登録した情報も用いられます。
ですがschema.orgでマークアップすることにより、ビジネス情報をより汎用的なデータとして蓄積できることにメリットがあるのだろうと僕は考えます。
検索以外のプロダクト、たとえばアプリでも利用できるでしょう。
それにGoogleマイビジネスはGoogleのためだけのものですが、、schema.orgなら、Google以外のシステムでも利用される可能性がありますね。
Place Actionsで予約や注文を実行
Place Actionsを、ローカルビジネスのマークアップに含めることで、ナレッジパネルからレストランの予約やデリバリーの注文といった“アクション”をユーザーは実行できるようになります。
schema.orgは、アクションを定義するボキャブラリとしてActionを2014年4月に導入しました。
Googleのローカルビジネスでは、Actionのサブタイプである、OrderActionを注文に、ReserveActionを予約に使います。
ちなみに、サイトリンク検索ボックスにはActionのサブタイプのSearchActionを使っていたんでしたね。
レストランの予約の記述例です。
"potentialAction":{
"@type":"ReserveAction",
"target":{
"@type":"EntryPoint",
"urlTemplate":"https://www.example.com/reserve?merchantId=20373",
"inLanguage":"en-US",
"actionPlatform":[
"http://schema.org/DesktopWebPlatform",
"http://schema.org/IOSPlatform",
"http://schema.org/AndroidPlatform"
]
},
"result":{
"@type":"FoodEstablishmentReservation",
"name":"Reserve table"
}
}
レストランの予約やデリバリーの注文のような飲食系にかぎらず、美容院の予約や本の注文などにもPlace Actionsを利用できます。
レストラン予約をはじめとする検索結果からのなどローカルビジネスの予約の機能は、すでに提供されていました。
しかし、これは予約システムとして、レストランであればOpenTableを、そのほかのローカルビジネスであればDemand Forceを利用しているサイトが対象です。
schema.orgで設定することにより、自社独自を含むそれ以外のシステムでも検索結果から予約や注文といったアクションを実行できるようになります。
ウェブからだけでなくアプリからの予約・注文に繋げることも可能です。
schema.orgによるナレッジパネルでのローカルビジネス情報の提供、アクションの実行はまだパイロット版として限定されたサービス提供者が実装している段階です(アクションの試験参加については専用フォームから申請が可能)。
近いうちに一般公開したいとのことです。
Maile Ohye(マイリー・オイェ)氏がSMX Milanの基調講演で言っていたように、Google検索はもはや10本の青いリンクを提示するだけのプロダクトではありません。
レストランやカフェ、書店、旅行代理店、スーパーマーケット、弁護士など店舗をかまえたローカルビジネスを営んでいるなら、ローカルビジネス情報をschema.orgでGoogleに伝えておくといいことがありそうです。
適切な情報を検索結果でユーザーに即座に届けられるし、そのままコンバージョンさせることもできます。