[レベル: 中級]
令和最初の記事です。
この記事では、今年 3 月に米サンディエゴで参加した SearchLove カンファレンスのセッションをレポートします。
セッションテーマは、公開後に時間が経過するとともに検索トラフィックが減少してきたコンテンツを更新し、復活させた大規模トラベルサイトのケーススタディです。
新しい記事をユーザーは好む傾向にあります。
逆に、古い記事は敬遠されがちです。
セッションスピーカーの SEO チームは、検索トラフィックが最も多い記事を含む、30 の古い記事を対象に更新を実行しました。
結果として成功をおさめます。
どのようにして、古いコンテンツを更新しトラフィックを回復させたのかを見ていきましょう。
回復の見込みがある記事の特定
公開後に次第に検索トラフィックが落ちてきたが、回復の見込みがある記事を特定する。
- 過去 12 か 月間と、それより1年前の過去 12 か月間のトラフィックを比較する(例: 2017 年の 12 か月間と 2018 年の 12 か月間)――検索トラフィックが減っている記事を見つける
- キーワード調査ツールを用いて、検索結果 1 ページ目と 2 ページ目のトラフィックの差を見積もる――1 ページ目と2ページ目の差が大きいキーワードの記事を見つける。検索結果の CTR も考慮する(※鈴木補足: スピーカーは、Moz の Keyword Explorer をツールとして利用)
- コンバージョンへの貢献度が高い記事を見つける
対前年比の減少幅が大きく、順位上昇したときのトラフィック回復見込みが大きい記事を更新の対象にする(あわせて CV を考慮してもいい)。
記事公開日だけを変えたり title タグに “2019年版” を入れたりするだけなのはどうかというアイディアが出てくるかもしれないが、勧めない。
競合調査
新しいコンテンツを競合サイトがどの程度 提供しているかを現在の検索結果から調べる。
クエリによっては、新しさが重要視されていそうな場合もある。
新しいほうが評価が高くなると思われるクエリに関連した記事を更新の対象にする。
編集チームの抵抗
コンテンツを編集する部門が、更新を嫌がるかもしれない。
そこで、協力してもらえるようにするためには次を心がけた。
- 更新による効果が高そうな少数の記事に絞る
- どのように更新するかを明確に指示する――全体の 25 % 〜 33 % を変えることを自分たちは目安にする
内部リンク更新
新しく、関連した記事に内部リンクを張るように更新する(鈴木補足: 再クロールを促すと同時に、ユーザーを回遊させるためと思われる)。
結果
ここまで説明したプロセスでコンテンツを更新した結果、更新後 30 日間で、中央値 45 % でトラフィックが増加した。
最も増えたのは 86 %の伸び。
- 公開後の順調に検索トラフィックが増えた
- 検索トラフィック徐々に減ってきた
- 更新後に、検索トラフィックが(以前よりも)増えた
更新しなかったとしたら、さらにトラフィックは減り続けただろう(”Without refresh” の点線)。
コンテンツを早々に死なせてはいけない。
更新して復活させることが可能。
すべてのクエリがそうというわけではありませんが、コンテンツの賞味期限が短くなってきたように感じます。
良質な記事を公開して検索トラフィックを集められるようになってきても、それに勝るとも劣らない良質なコンテンツが競合によって公開されると、新しいほうが有利なように思えるケースが少なくありません。
そうはいえど、時間と、場合によってはお金を投資したコンテンツは可能な限り長く、できれば永久にトラフィック源にしておきたいものです。
コンテンツを一から作り直すよりも、既存のコンテンツを再構成したほうが通常は効率的です。
このセッションで解説された方法を参考にして、新しく始まった令和の時代に平成のコンテンツを効果的に蘇らせてみましょう。