[レベル: 初〜中級]
無料で提供された商品やサービスの見返りとしてレビュー記事を書き、その記事から、対象となる商品・サービスのページや提供元のサイトに発リンクしていたサイトに対して、手動の対策をGoogleがおおがかりに実施したことを先週レポートしました。
今のところ、日本でこうした手動対策が行われているという情報は入っていません。
しかし日本でいつ実施されてもおかしくありません。
また、たとえ実施されなかったとしても注意すべきである点に変わりはありません。
そして、特にアフィリエイトをしている人を中心に、誤解と(過度の)恐れが発生しているようです。
新たにわかったことやこれまでのGoogleのスタンスなどを含めて、この記事でフォローアップします。
見返りレビュー記事からのリンクについて Google社員による詳しい説明
先週の英語版オフィスアワーで、この件がトピックに上がりました。
Google社員のJohn Mueller(ジョン・ミューラー)氏が、参加者からの関連したいくつもの質問に答えています。
15分ほどの長い時間にわたってQ&Aが続きます。
すべてを訳すのは大変なので、ポイントになる部分を抜き出してまとめました。
一部分だけを抜き出すと間違って解釈されてしまうおそれがあるのですが、コンテキストなしでも誤解を生まないだろう部分に絞っています。
英語に不自由がないのであれば、全体を視聴することをおすすめします。
ミューラー氏からの説明要点
- 週末に送られた警告のすべてが見返りのレビュー記事からの発リンクに対しての手動対策だったというわけではないが、それが多かったのは確か。
- レビュー記事においては、関係性が問題となる ―― つまり無料の商品・サービスや試供品を提供してもらって、記事を書いているかどうか。なかには、お金をもらっている場合もあるだろう。
- マーケティングの手法としては問題ないと個人的には思うが、関係を示す必要がある。リンクに関して情報開示したり、本文中で伝えたりすべき。
- nofollowをリンクに付けておけば、少なくともGoogleからすれば問題ない。正真正銘のレビューで本当に価値がある記事がウェブに存在することは知っている。しかしnofollowを付けておけば、リンク先との何らかの関係性があることがわかるから、Googleは適切に扱える。
- たとえばローンのレビューを書き、そのお礼に何かをもらう場合でも同じことが当てはまるだろう。リンクをもらうために何かを提供してもらうというのはダメ。
- 検索エンジンを操作しようとする意図があることが問題。提供を受ける代わりにリンクを張っているという関係性を明らかにさせることが大切。普通の場合のように、自分の意志で何か買ったり試したりして張ったリンクとは異なる。
- 今回ウェブスパムチームが一斉に対処したのは、検索結果に悪影響を及ぼすようなことが大規模なパターンで行われていると判断したから。こうしたことに対処する方法をGoogleは見つけなければならない。こういうときは、アルゴリズムで対処することもあるし手動で対処することもある。
- 「この語句があるから黒と判定する」のような、白か黒かを明確に線引きするための基準が存在しているわけではない。手動の対策では、ウェブスパムチームがそれぞれのサイトを見たうえで最も適切な判断を下す。
- 特別な関係はないのに、見返りのリンクだとして間違って判断してしまうこともありうる。そんなときは、再審査リクエストで、勘違いしているとして、関係性がないことを主張できる。そうした情報は、今後適切に判断するための材料にもなる。
- nofollowが付いていれば、ペイドレビュー(金品の見返りとして書いたレビュー)だとアルゴリズムで認識できる。本当のレビューなのか頼まれたレビューなのかを区別できなかったとすると、すべてのリンクを無視しなければならなくなる。これはもっと良くない状況で、Googleは避けようとしている。だからnofollowを付けてほしい。
レビュー記事を書く際にどのように対応すべきか
ここからは、ミューラーの説明も踏まえて、Googleのヘルプ記事や公式ブログの記事、過去のGoogle社員の発言をもとにして、どのようにレビュー記事を投稿すべきかを、僕なりにまとめます。
レビュー記事を次の3パターンに分けます。
- お金をもらって書くレビュー記事
- 無料提供の商品・サービスをもらって書くレビュー記事
- 純粋なレビュー記事
順に説明します。
お金をもらって書くレビュー記事からのリンク
まず、お金をもらって書くレビュー記事からのリンクについて考えてみましょう。
これは、完全に有料リンクです。
PageRankを操作するための有料リンクはガイドライン違反です。
nofollowをリンクに必ず付けます。
また依頼されて書いたレビュー記事であることを、「PR」や「広告」のように明記します。
あるいは、レビュー対象の商品・サービスの提供元との関係について本文中で触れます。
隠していると、場合によっては法律に違反することさえあるかもしれません。
ステマ問題がこれに相当しますね。
ただし、お金をもらってレビュー記事を書くこと自体は、れっきとしたプロモーション活動です。
ルールを守れば、ガイドライン違反にも法律違反にも問われません。
商品・サービスを無料で提供してもらって書くレビュー記事からのリンク
次に、お金ではなく、無料で提供された商品やサービスの見返りとして書いたレビュー記事を考えてみましょう。
今回問題になったのはこのパターンのリンクです。
お金は直接絡んでいませんが、商品・サービスと引き換えにリンク獲得を目的として書かれたレビュー記事であればガイドライン違反になります。
したがって、PageRankを転送しないようにnofollowリンクを使うことが要求されます。
お金の受け渡しがないとしても、モノ・サービスの対価としてのリンクが有料リンクになりうることは、2014年に、ウェブスパムチームの当時のトップだったMatt Cutts(マット・カッツ)氏も説明していました。
無料提供された商品やサービスをブログでレビューする際の最新の指針は、先日公開された公式ブログの記事で確認できます。
関係しそうな記事を今までに書いたことがあったり、これから書くことがあったりしそうなら絶対に読まなければなりません。
純粋なレビュー記事
お金も、商品やサービスの提供も関わってこない純粋なレビュー記事からのリンクを最後に考えてみましょう。
これはだれに頼まれるわけでもなく、完全に自らの意思で書くレビューです。
純粋なレビュー記事をさらに2つに分けます。
- アフィリエイト リンクを含まない記事
- アフィリエイト リンクを含む記事
アフィリエイト リンクを含まない記事
アフィリエイトを一切目的にしていない、言い換えればアフィリエイトリンクが1本もないレビュー記事であれば、リンクをnofollowにする必要はありません。
レビューした商品やサービスの企業やお店とは特別な関係性もないので、情報公開も必要ありません。
たとえば、
ミュンヘンで訪れたこのビアガーデンは、ビールがおいしかっただけじゃなくてとてもいい思い出ができました。外国人観光客が少ないから、現地の雰囲気を楽しめるのでオススメ!
と、ドイツでのビアガーデン体験談をブログに書いたとしても、このリンクをわざわざnofollowにする必要はありません。
純粋なレビューだからです。
このビアガーデンの広報担当者に、ビールを1杯ごちそうする代わりにお前のブログからうちの公式サイトにリンクを張ってくれと頼まれたわけではありません。
アフィリエイト目的でもないので、nofollowもまったく不要です。
訪問者の役立つと信じているからリンクする、本来あるべき姿のまさに自然なリンクですね。
アフィリエイト リンクを含む記事
一方、純粋なレビュー記事ではあるけれど、アフィリエイトも兼ねている場合はどうなるのでしょうか?
関係者に頼まれたわけではないので、関係性を開示する必要はありません(そもそも関係性がないので開示するものがないですね)。
問題はリンクの処理です。
nofollowにすべきか、そのままにすべきか。
ミューラー氏は、純粋なレビュー記事から張られているアフィリエイトリンクに関しては、紹介した動画の中では言及していません。
トピックが異なるし、オフィスアワーの参加者もだれも質問していません。
自分の意志で書いたレビュー記事からのリンクなので、見返りとしてのリンクではありません。
この点で考えればnofollowは不要です。
ですが、訪問者に紹介したいという意図からのリンクだったとしても、報酬を得ようとする意図があることも事実です。
100%完全に自然なリンクとは言えないかもしれません。
Google社員の過去の発言から判断すると、アフィリエイトリンクだからといって必ずしもnofollowが要求されることはないと思われます。
Googleは、メジャーなアフィリエイトネットワークを把握していて、必要だと判断すればアフィリエイトリンクを相応に処理しているようです。
アフィリエイトリンクにnofollowを付けていなかったからといって、それだけが理由で手動で対策された事例を僕は聞いたことがありません(ほかの理由とあわせて、nofollowではなかったことも問題視された事例はありそう)。
したがって、過去の記事にまでさかのぼって、レビュー記事のアフィリエイトリンクにnofollowを追加していくことは必要ないと僕は考えます。
今回騒動になったレビュー記事からの発リンクは、アフィリエイトとは関係なく、「見返り」としてのリンクであって、検索結果を操作する目的が見られたから対処されたのです。
もっとも、すべてのアフィリエイトリンクにnofollowを付けてもまったく問題ありません。
nofollowリンクにしておけば、リンクプログラムという観点では確実に安心できます。
アフィリエイトサイトで問題になるのは、リンクがnofollowかどうかよりもむしろ、独自の価値を提供できているかどうかでしょう。
規模の大小にかかわらず、アフィリエイトを利用している人はGoogle公式のヘルプ記事とブログ記事を熟読することを強く推奨します。
以上、レビュー記事からのリンクの使い方についてまとめました。
依然としてわからないことや不安なことがあれば、コメントやTwitterでご質問ください。
僕が自信を持って答えられるものはその場で返事するし、僕にもわからないものはGoogleに聞いてみます。
もちろん、僕などに頼らずにオフィスアワーでGoogleの社員さんに直接質問するのもいいでしょう。