[レベル: 初〜中級]
SMX East 2016のセッションレポート記事を今週は連日お届けしています。
Google強調スニペット、アイトラッキング調査、音声検索と続いて、最終日の今日は「ソーシャルメディアとSEO」をテーマにしたセッションを扱います。
セッションスピーカーは、Stone Temple ConsultingのMark Traphagen(マーク・トラファゲン)氏です。
ソーシャルメディアはSEOにどのように影響している、あるいは影響していないのでしょうか?
ソーシャルメディアは直接的なランキング要因なのか?
2010年、GoogleのMatt Cutts(マット・カッツ)は、TwitterやFacebookからのリンクをランキングに使っていると言った。
Mozの相関関係調査2015年版では、ソーシャルメディアからのリンクと上位表示に実際に高い相関関係が見られた。
Search Metricsの調査でも同様の結果が出ている。
ところが2014年には、どのソーシャルメディアのリンクも現在はランキング要因になっていないとMatt Cuttsは反対のことを言っていた。
相関関係があるのにどうしてなのか?
相関関係と因果関係は違うからだ。
たとえば、アイスリームがよく売れる日と気温が高い日には相関関係がある。
しかしアイスクリームをたくさん売っても気温は上がらない。
ソーシャルメディアでたくさんシェアされるコンテンツは非常に良いものなので、リンクのようにランキングに影響を与えるシグナルを獲得しやすい。
結果として、相関関係が見られると推測される。
結論
検索においては、ソーシャルメディアの投稿はそのほかのウェブページと同等に扱われる。
FacebookやTwitterはSEOに影響するか
FacebookもTwitterもすべての投稿がインデックスされるわけではない。
調査したところ、Facebookの投稿(画像や動画なども含む)でインデックスされていたのは、59.76%だった。
Twitterの投稿は、3〜6.5%のインデックス率だった。
とはいえ、2015年2月にGoogleとTwitterが(再)提携し、GoogleがTwitterのデータを直接入手できるようになってからは、インデックス率が上昇した。
提携以前は1%未満だった。
Googleは、ソーシャルメディアのすべての投稿をインデックスしようとはしていないようだ。
Google+はどうか?
では、Google自身が運営するGoogle+はSEOに影響するのだろうか?
検証から考察すると、Google+の投稿に関しては次のようなことが言えそうだ。
- URLの発見に役立つ
- インデックスにも役立つようだ(が、検証方法にミスがあった可能性あり)
- ランキングには影響しない
Googleがソーシャルメディアをランキングに利用しない理由
Googleはソーシャルネットワークへのアクセスに安心感を抱いていない。
なぜなら、ソーシャルメディアは、Googleのクロールを突然遮断することがあるからだ。
実際にTwitterに、1か月〜1か月半の間Googleはブロックされたことがある。
また、ソーシャルメディアは投稿した人がだれであるかが必ずしも明らかではない。
したがって信頼性を保証できない。
では、Googleは検索に対してソーシャルメディアにまったく関心を払っていないのか?
それはわからない。
可能性の探求には終わりがない。
検索に影響しているように思えるケースも多々ある。
たとえば、話題になっているトピックに関するツィートはインデックスされ検索結果に出てきやすい傾向にある。
実際問題としてソーシャルメディアをどう利用すべきか?
検索のランキングのためにソーシャルメディアを利用すべきではない。
ブランド構築や質が高いトラフィックを獲得するためにソーシャルメディアを利用すべき。
以上です。
最後のまとめがすべてですね。
検索のランキングのためにソーシャルメディアを利用すべきではない。
ブランド構築や質が高いトラフィックを獲得するためにソーシャルメディアを利用すべき。
おそらく今も、Googleはソーシャルメディアの投稿を直接のランキング要因には利用していないはずです。
利用するには、トラファゲン氏が指摘しているものも含めてさまざまな問題があるからです。
そうはいっても、将来的にはどうなるかはわかりません。
問題を解決するいい方法が見つかれば、ランキング要因として使うかもしれません。
あるいは、特定の要素に関してはすでに使っている可能性もあります。
ですが、ソーシャルメディアをGoogleがランキングに反映させているかどうかは、さして重要なことではありません。
ソーシャルメディアが持つマーケティングにおける最も重要な意味は、次だと僕は考えます。
- ブランドの構築
- ユーザーエンゲージメントの向上
- ロイヤリティが高い顧客の獲得
決して上位表示のためではありません。