[対象: 上級]
この記事では、先日参加したSMX Advanced 2014でのセッションをレポートします。
取り上げるのは、Best Buyの構造化データの取り組みです。
Best Buy(ベスト・バイ)はアメリカミネソタ州ミネアポリスに本社を置く世界最大の家電量販店です。
日本のビックカメラやヨドバシカメラみたいなものとらえてください。
Best Buyが、過去と現在、そして将来にどんなふうにして構造化データを利用してきたのか、また利用していくつもりなのかを紹介します。
Best Buyの早くからの積極的な構造化データ利用
Best BuyのSEOチームは、構造化データの専門家からRDFaやGoodRelationsを習い、セマンティックが注目される以前から積極的に構造化データを実装してきた。
Best Buyは全米に店舗を展開している。
店舗ページには、所在地や電話番号、営業時間など構造化データによって検索エンジンにはっきりと見せるべき貴重なデータがたくさん存在する。
そこで各店舗の個別ページに数多くの構造化データを設定した。
[鈴木メモ] 下はBest Buyの、ある店舗の個別ページです。
[鈴木メモ] data-vocabulary.orgとRDFaでさまざまな価値ある情報をマークアップしています。
構造化データの実装後、年間の検索トラフィックが2倍に増えた。
実験用にRDFaでマークアップしたサブドメインのページが、メインサイトよりも上位表示したことさえあった。
内部的にはサイト内検索の結果であるページを、1つのカテゴリとして静的URLを割り当てたページにも構造化データを設定している。
たとえば、サッカーのアイテムのカテゴリページのURLに“soccor”を含め、人間に対しても検索エンジンに対しても意味がある、きれいなURLを構成している。
マークアップにはschema.orgの「SearchResultsPage」を設定している。
初期段階での取り組み
キーワード以上の意味ある価値を与えるデータを発行するために、さまざまな情報を構造化データでマークアップした。
きれいで格好いいURLを使った。
[鈴木メモ] これらはすでに見せたとおりです。
シンタックスとしてRDFaを利用した。
利用したオントロジー(Ontology)は次のとおり。
- GoodRelations(ECサイトで使われる)
- FOFA(Friend Of A Friend、人物を表現する)
- GEO(空間的位置を表現する)
[鈴木メモ] 「オントロジー」はここでは「ボキャブラリー」と考えてください。構造化データのボキャブラリーとシンタックスについてはこちらの記事を参照。
現在の構造化データの利用
schema.orgとMicrodataを現在は使用している。
[鈴木メモ] 下の2つのキャプチャはChromecastの商品ページ。多くのschema.orgをMicrodataでマークアップしています。
構造化データのマークアップはユーザーとのエンゲージメントを高めることにも貢献している。
将来の方向性
次のような取り組みを新たに始めている。
GmailのAction in the box
GmailでのAction in the boxを始めた。
たとえばメールに、注文に対するActionを実装している。
[鈴木メモ] Gmailでは、さまざまな“アクション”をメールボックスから実行できます(詳細はこちら)。
これは荷物の追跡。クリックすると荷物の発送状況を確認できます。
これはフライトのチェックイン。クリックすると航空会社のオンラインチェックインページへアクセスできます。
GS1 GTIN Initiative
GS1 GTIN Initiativeの採用を始めた。
例: <span itemprop="gtin13">0887276965147</span>
[鈴木メモ] GTIN (Global Trade Item Number)とは、国際的な流通標準化機関のGS1により標準化された国際標準の商品識別コードの総称。GTINをウェブで利用しようという取り組みが始まっています。schema.org/Productには、GTINのプロパティが用意されています。
ナレッジグラフ
ナレッジグラフやアンサーボックスに表示される情報を構造化データを介して提供する。
たとえばナレッジグラフに製品の購入先としてBest Buyが表示される。
schema.orgでマークアップしておくと、Pinterestでも、より良いPin(画像の投稿)ができる。
以上です。
すでにレポートしたDisneyに負けず劣らず、Best Buyも積極的に構造化データを利用していますね。
大手だから可能という見方もできますが、規模の大小を問わずに構造化データの取り組みに人材と予算をより多く割り当てることを検討したいところです。
まだやっているサイトが少ないからこそ、早めの取り組みがアドバンテージになります。
先行者利益を狙いましょう。