[対象: 上級]
Googleには、Googleが“QDD”と名付けたアルゴリズムが存在します。
いえ、間違いです。
そんな名前のアルゴリズムは存在しません。
QDDとは
QDDとは、“Query Deserves Diversity”の略です。
「検索結果に多様性を持たせる」という意味合いがあります。
たとえば、「タラバガニ」と検索した場合、検索ユーザーが何を求めているかが曖昧です。
「タラバガニ」というクエリには幅広い意味・意図がありそうです。
こういった場合に、タラバガニという生き物を説明するページ(例: Wikipedia)やタラバガニを売っているお店(例: 楽天市場)、タラバガニをはじめとする水産生物の図鑑のページ、タラバガニのおいしい食べ方を紹介したページなど、さまざまなタイプのページを返します。
ともすれば、タラバガニの画像や(あれば)動画を返すかもしれません。
ほかには、ある特定の商品名で検索した場合、その商品を売っているショップに交えて、その商品のレビューが書かれているレビューサイトのページを返すかもしれません。
このように、1つの型にはまった結果でなく、一定の多様性を検索結果に持たせるのがQDDの働きというわけです。
だれがいつどこで使い出したのか
さて、ここからが本題です。
QDDは、Googleが公式あるいは非公式に使っている言葉ではありません(もしGoogleの人が使っている事実があれば教えてください)。
Moz(旧SEOmoz)のRand Fishkin(ランド・フィッシュキン)氏が、遡ること2008年の5月に書いた記事で用いたのが初めのはずです(Web担での日本語訳はこちら)。
つまりQDDは、フィッシュキン氏が名付けた呼び名です。
しかも、彼はQDDが存在を立証したわけではなく、「こういったアルゴリズムがGoogleには存在すると僕は思うんだけど、読者のみんなはどう思う?」という形で記事を書いています。
問題提起してほかの人の意見を聞いたのです。
「GoogleがQDDと呼ぶアルゴリズムが存在する」は不適切な表現
QDDは、Googleのアルゴリズム名称ではありません。
SEO関係者が独自に使っている用語です。
- Googleには、GoogleがQDDと呼んでいるアルゴリズムがある ⇒ 不適切
- Googleには、SEO関係者がQDDと呼んでいるアルゴリズムがあるかもしれない ⇒ 適切
QDDに相当するようなアルゴリズムが仮に存在したとしても、それはGoogleが名付けた名前ではありません。
似た響きのQDFとは違うのです(QDFはGoogleの人が実際に使っている)。
QDDは本当に存在するのか?
QDDが示す現象が見られる検索結果は確かにあります。
したがって類似したアルゴリズムが存在する可能性がゼロとは言いません。
以前に、GoogleのJohn Mueller(ジョン・ミューラー)氏にフィッシュキン氏の記事を見せて、「QDDのようなアルゴリズムがGoogleにはあるのですか?」と尋ねたことがあります。
「ユーザーの求めているものが不明確なときに、絞り込むのはひょっとしたら意味のあることかもしれないね」と返事をくれ、そんなアルゴリズムがあることを否定はしませんでした。
とはいえ、肯定もまったくしていません。
お詫びとお願い
僕のブログ読者にお伝えしたいことがあります。
最後になってしまいましたが、これがいちばん重要かもしれません。
「GoogleにはQDDというアルゴリズムがある」と僕自身がこのブログで言っていました。(汗
しかも「QDD」で上位表示しているから、なおさらたちが悪い。(滝汗
僕のブログ記事を読んだことがきっかけで、QDDという言葉を使い始めた方がいらっしゃるかもしれません。
ごめんなさい。
今後は使わないでください。
使っても構いませんが、「GoogleにはGoogleがQDDと名付けたアルゴリズムがある」と断定した言い方をせずに、「Googleには、私たちが(勝手に)名付けたQDDと呼ぶアルゴリズムがあるかもしれない」と表現してください。
でもできれば僕のブログ読者には使ってほしくないと思います。
僕はもう使っていません。
ドメインの多様性を確保するアルゴリズムは存在する
ここは補足です。
Googleには、1つの検索結果ページに同一のドメイン名のサイトからのページを複数返さないように、ドメイン名の多様性を調整するアルゴリズムは存在します。
“Domain Diversity/Diversity of Domains”(ドメインの多様性)とGoogleの人によって表現されることもあります。
しかし、ドメインの多様性に関わるアルゴリズムはQDDを指してはいません。
混同しないでください。