今日のエントリは、Googleのペナルティ発動と解除の仕組みについてです。
Web担当者Forumで僕が連載している『海外&国内SEO情報ウォッチ』の先週の注目ピックアップでも取り上げましたが、非常に重要な情報なので僕のブログでも取り上げることにします。
以下はWeb担に掲載した記事の転載です(了承を得ています)。
グーグルのペナルティが永久に続くことはあるか? それともグーグルのガイドラインに従って必要な修正を施せば、どんな場合でもペナルティは解除されるのか?
この質問に、グーグルのマット・カッツ氏がビデオで回答した。
グーグルがペナルティを与えるのは、2とおりのパターンがある。
- 1つは手動によるペナルティ
- 1つはアルゴリズム(自動)によるペナルティ
手動によるペナルティは、スパムレポートを受けて対応したり、トピックと無関係のポルノなどの場合に与えたりするもので、グーグルのスパムチームの人間が処理する。こうした手動処理の結果はアルゴリズムの改良にもフィードバックされており、コンテンツスパムやキーワード詰め込みを判定したり、クローキングや不正なJavaScriptリダイレクトのような違反を発見したりするのを自動化する助けとなっている。
あなたのサイトがアルゴリズム(自動処理)によってペナルティを受けたのならば、どんなペナルティであるにせよ違反箇所を修正すれば、ほとんどの場合は一定の時間が経過すると、再クロール・再インデックスされてアルゴリズムで再処理され、ペナルティは自動的に解除され、順位は元に戻るだろう。
あなたのサイトが手動でペナルティを与えられた場合でも、ほとんどの場合は、そのペナルティは一定期間が過ぎると自動的に解除されるようにしている。たとえば、隠しテキストだったら(実際の数値ではないが)30日間のペナルティが与えられ、クローキングや悪質なものだった場合はもっと長い期間ペナルティが続くといった具合だ。この場合も、ペナルティを受けていた部分を修正すれば、その期間が過ぎたあとに元に戻る。
つまり、アルゴリズムによるペナルティでも、手動によるペナルティでも、修正すれば時間が経ったあとに結果として解消される。もちろん、再審査リクエストはいつでも依頼できる。手動でペナルティを与えていた場合は、再審査リクエストがあれば人間が調査して、ガイドラインに十分に沿っていると認めたらペナルティを撤回する。そうすればサイトはすぐに元のように表示されるようになるだろう。
ちなみに、再審査リクエストに対して我々は、まずそれが手動で与えられたペナルティだったのかどうかをチェックしている。アルゴリズムによる自動ペナルティだった場合には、その場でアルゴリズムによる再チェックを行うわけではない。アルゴリズムは常に動作し続けているものなので、問題のある箇所を修正して再審査リクエストを送ったとしても、アルゴリズムが次にチェックして“問題なし”とみなすタイミングを待つことになる。現状では、再審査リクエストに対して我々が行っているのは、手動ペナルティに対する解除のチェックだ。
まとめると次のようになるだろう。
- アルゴリズムによって自動で与えられたペナルティは、違反箇所を直せば同じように自動で解除される。再審査リクエストは必要ない。
- 手動によるペナルティは、通常インデックスから削除される(おそらくウェブマスターツールにメッセージが届くことが多いはず)。この場合は違反箇所を修正した後再審査リクエストを送信すると、人間が目視でチェックして違反がなくなっていればインデックスに復活する。
アルゴリズムによるペナルティと手動によるペナルティの2つがあることは想像できていましたが、解除の仕組みもそれぞれ異なっていたというのがGoogleから語られたというのは貴重な情報です。
重要な点を繰り返します。
アルゴリズムによるペナルティは、ガイドライン違反が修正されていれば再クロール・再インデックス後、自動的に直ちに解除されます。
再審査リクエストを送っても意味がありません。
手動によるペナルティは、違反の度合いによって期間がありその期間はやがて期限切れを迎えます。
再審査リクエストによってチェックが行われるのは、手動ペナルティの場合だけです。
チェックも人的です。
ただし、“for the most part”や“the vast majority of the time”と言っているので100%必ずということでもなく、例外はありそうです。
気になったのは手動ペナルティが期限切れを迎えるということです。
(Matt Cutts氏は、“Expire”や“Time out”という言葉を使っています)。
ペナルティの原因となる箇所を修正しない状態で期限切れを迎えたらどうなるのでしょうか?
元どおりにまた復活?
そんははずはありませんよね。
「時効」があるなんて考えられません。
でもMatt Cutts氏の説明を聞いているとそんなふうに解釈してしまいそうなのです。
Web担の安田編集長とも議論したのですが、おそらくこういうことだと推測します。
- 手動によるインデックス削除のペナルティではインデックス削除期間を設定される。
- 違反箇所を修正して再審査リクエストが認められたとしても、決められた期間はインデックス削除されたまま。
- 違反修正後、期間が過ぎる(Expire、Time out)と元に戻る。
- 修正がないまたは不十分な場合は
期間が過ぎてもインデックス削除されたまま【UPDATE】いったん解除されるっぽい。
参考になればと思い、Googleウェブマスターツールのメッセージセンターに送られてきたペナルティ通知メッセージを紹介します(ドメイン名は仮名)。
Google からのお知らせ: ウェブマスター向けガイドラインの違反について
yougotbanned.com のウェブマスター様
このたび、貴サイトにおきまして、Google のインデックスへの登録中に Google の品質に関するガイドラインに沿わない箇所が確認されました。品質に関するガイドラインは次の URL にてご確認いただけます。
http://www.google.com/support/webmasters/bin/answer.py?answer=35769&hl=ja今回は特に「隠しテキストや隠しリンク」に該当する不適合が確認されました。具体的には、http://www.yougotbanned.com/ における次の内容が不適合箇所の一例です。
(具体的な違反箇所の説明)
隠しテキストや隠しリンクに関する詳細は、次の URL をご参照ください。
http://www.google.com/support/webmasters/bin/answer.py?answer=66353&hl=jaGoogle の検索結果の品質を保つために、yougotbanned.com の一部もしくは全体が検索結果から一時的に(最低 30 日間) 削除されます。
引き続き、Google のインデックスへの登録をご希望される場合は、ガイドラインに違反する全てのページ(提示した例が全てとは限りません) を修正していただくことをお願い申し上げます。修正後は、https://www.google.com/webmasters/tools/reconsideration?hl=ja にアクセスし、詳細を確認のうえ、再審査のリクエストを送信してください。
お手数をお掛けしますが、何卒ご理解とご協力賜りますようお願い申し上げます。
Google サーチ クオリティ チーム
2010年11月3日に送られてきた本物の通知メッセージです。
(澤村勝さんにご提供いただきました。澤村さん、ありがとうございました。ちなみに初犯ではなく2度目のインデックス削除だそうですw)。
「隠しテキスト」が原因ですが、文字を背景と同色にしたりフォントを微小にしたりといった姑息な隠しテキストではなく、CSSによる画像置き換えが隠しテキストとして判断されました。
飛ばしたテキストと画像の内容が一致していなかったことがひっかかりました(澤村さんの名誉のために言っておきますが、2回とも画像置き換えが違反として問題視され2度目はコピペによるうっかりミスによるものです)。
転載文では省略していますが、サイト内の違反箇所の例をいくつか具体的に挙げているのでほぼ間違いなく手動でのペナルティでしょう。
ガイドライン違反に該当しているかもしれないことをアルゴリズムが自動検出し、人間のスタッフが目視で確認したに違いありません。
Matt Cutts氏はビデオの中で、たとえば隠しテキストは30日間のペナルティが与えられると言っているので合致していますね。
このケースでのペナルティは最大級のペナルティである「インデックス削除」でした。
通知を受けた後、違反箇所を修正して再審査リクエストを送信しインデックスに復活しています。
しつこいようですが、最後にもう1度まとめます。
- ペナルティにはアルゴリズムと手動の2種類がある。
- アルゴリズムによるペナルティは発動も解除も自動。
- 手動ペナルティは期間が設定される。
- 再審査リクエストが有効なのは手動ペナルティだけ。
再審査リクエストの適切な送り方、ペナルティ通知が届かない理由、ペナルティ解除までの時間、ドメイン前所有者が残したペナルティ回避については次のエントリで説明しています。
今回の説明を踏まえてこちらを読むとペナルティについて理解がいっそう深まるでしょう。