全国的に猛暑が続いている日本でさらにホットなニュースが飛び込んできました。
もう知っているとは思いますが、Yahoo! JAPANが検索エンジンのシステムとしてGoogleからデータ提供を受けることが正式に決まりました。
アメリカではYahoo! Inc.が運営するYahoo.comでBingへの切り替えテストが行われている真っ最中です。
Yahoo! JAPANもいずれはBingを採用するだろうと大半が予測していたはずです。
ひょっとしたら独自運営の可能性もなくはないかな、が別のオプションとして考えられましたがいざ蓋を開けてみると提携先はGoogleでした。
直前まで情報がリークしなかったこともあり、まさに「寝耳に水」でした。
以下は両社からの公式発表とそれ付随するドキュメントです。
- Yahoo! JAPAN のより良い検索と広告サービスのために – Google 公式ブログ 日本版
- Yahoo! JAPANの検索サービスにおけるグーグルの検索エンジンと検索連動型広告配信システムの採用、ならびにYahoo! JAPANからグーグルへのデータ提供について – Yahoo! JAPAN プレスリリース
- Yahoo! JAPAN の検索サービスにおけるグーグルの検索エンジンと検索連動型広告配信システムの採用、ならびにYahoo! JAPAN からグーグルへのデータ提供について (2010/7/27) – Yahoo! JAPAN IRリリース
- よくあるご質問: Yahoo! JAPANの検索サービスにおけるグーグルの検索エンジンと検索連動型広告配信システムの採用、ならびにYahoo! JAPANからグーグルへのデータ提供について (2010/7/27) – Yahoo! JAPAN IRリリース
- 検索連動型広告「スポンサードサーチ」強化のための広告配信システム変更について – Yahoo!リスティング広告 公式ブログ
詳細はこれらの文書を読んでもらえば分かりますが僕たちサイト管理者にとって気になる部分をまとめました。
提携範囲・影響範囲
提携範囲は、ウェブ・画像・動画・モバイルの4領域です。これらの検索結果を決めるシステムとして、現在利用している米Yahoo!(Yahoo!. Inc)が開発運営するYST(Yahoo! Search Technology)からGoogleが管理運営するシステムに切り替わります。
検索ページ・検索結果ページのユーザーインターフェイスは、これまでどおりYahoo! JAPANが管理します。
たとえば、オークションやショッピング、知恵袋などの独自コンテンツや関連キーワード表示、検索連動広告をなどを検索結果に自由に差し込むことができます。
これは、米Yahoo!とBingの提携パターンと同じですね。
見た目には今までのYahoo!と変わりはなく、バックグラウンドで働く検索システムだけがGoogle製になるだけです。
一般ユーザーのほとんどはきっと違いに気づかないでしょう。
毎日順位チェックしているのはあなただけです。w
気になるのはこの部分です。
Yahoo! JAPAN独自の調整を加えながらGoogle の検索サービスをカスタマイズいたします。
インターフェイスだけではなく、検索順位にも調整を加えてくるのでしょうか。
ヤフカテ登録サイトをプラス評価するとかアフィリエイトサイトを嫌うとかそのくらいはいいのですが、これまで日本独自でYSTに載せていたようなフィルタはやめてほしいです。
ちょっと心配。
検索連動型広告配信システムもサービス提供を受けます。
Yahoo! リスティング広告のスポンサードサーチが、Google AdWordsのシステムのもとで運用されます。
ただしデータは完全に分離されていて、管理画面や広告や入札価格、キーワードなどの設定はYahoo!リスティング広告側で実行します。
この点は、米Yahoo!とMicrosoft AdCenterのケースと異なりますね。
検索連動広告の掲載順位決定や品質スコアの算出、入札単価の決定などに、Google AdWordsの仕組みを採用するということです。
興味関心連動型広告「インタレストマッチ」は、Yahoo! JAPAN独自のサービスとして運用が続きます。
契約期間
当初2年です。
その後はYahoo!が断らなければ2年延長します。
さらにその後は双方が同意すれば、2年ずつ更新できます。
ちなみに米Yahoo!と米Microsoftの提携期間は10年間です。
移行時期
なるべく早く、検索エンジンおよび検索連動型広告配信システムとも移行できるよう現在詳細を検討中です。
まだ明らかになっていません。
年内かもしれないし、1年後かもしれません。
下手な予想をたてても外れたらカッコ悪い意味がないので、急いでくれることを願うだけです。w
公正取引委員会の対応
事前に日本の公正取引委員会に相談をしており、問題なき旨を確認しております。
クリアできているようですね。
米Yahoo!とMicrosoftの場合は、米司法局とEUの承認を受けるのに時間がかかりました。
Search Engine Landによれば米Microsoftの副社長 兼 ゼネラルカウンセル(法務顧問、法務責任者)のBrad Smith(ブラッド・スミス)氏は、市場を独占する提携だとして阻止する意向を示しているそうです。
ただ、「事前に相談して問題ないことを確認」とあるので大丈夫なんでしょう。
Googleのシェアが95%前後になると見込まれますが、「待った」はかからないみたいです。
個人的には、“チャチャ”を入れてほしくないです。
BingではなくGoogleを選択した理由
早い話が、Googleの方が性能がいいからです。
Yahoo! JAPANはYahoo! Inc.の資本が入っていますが、Yahoo! Inc.の日本法人でもなければ子会社でもありません。
独自の決裁権を持っています。
将来的にはBingの性能がGoogleを超えることも否定はできませんが、過去の実績と現状を考えてGoogleを選ぶことがベストと判断したようです。
正しい選択でしょう。
デビューしたばかりのBingにとっては痛恨の一撃ですね。
意気揚々と城から外に出た瞬間に瀕死状態になっている気がします。
サイト管理者にとって
途中にも書いたように、一般のユーザーにはそれほどインパクトを与えない出来事です。
インパクトを与えないというよりも、どうでもいいし意味が分からないでしょう。
でも僕たちサイト管理者にとっては違います。
まっとうにSEOに取り組んでいるサイト管理者にとっては、諸手を挙げて歓迎すべき提携です。
先日参加したCSS Nite LP, Disk 10で、ある大手のSEM会社の代表が次のようなニュアンスのことをおっしゃっていました(はっきり明言したわけではありません)。
日本のSEOをダメにしたのはYahoo!
意味するところは、スパム的SEOがまかり通っていることだと推測します。
「まったく価値のない自作のゴミリンクを構築したりして検索エンジンの裏をかき無理やり上位にねじ込む」、こんな意味でSEOが捉えられている向きがあります。
Yahoo!ではこれが可能です。
URLの正規化が正しく処理されないとか意味不明なサイトが上位に表示されるとか信頼性に劣る現象も多々あります。
そして正しいSEOを実行しても評価されないどころかいわれなきペナルティを受けることもあります。
もちろんGoogleも完璧とは言えませんが、推奨されたSEOをコツコツ実践していけば、大抵の場合は結果が着いてきます。
情報提供にも積極的です(理想論を言って誘導することもありますが)。
Yahoo!を非難する気はありませんが、今回の提携によって真面目にSEOを施策しているサイト管理者と、適切な検索結果を知りたい一般ユーザーの両方がハッピーになれるだろうと感じます。
と同時に「スパムSEO業者、ザマァ」というのも付け加えておきます。
僕個人に限定しても嬉しいことです。
海外ではGoogleがシェアNo.1でYahoo!はほとんど相手にされていないということもあって、このブログはGoogle情報一辺倒です。
Yahoo!が検索システムにGoogleを採用することが決まって価値も上がりそうです。
そして「書きたくても書けないYahoo!」、というストレスから開放されます。(笑)
時期はずれですが、「もういくつ寝ると」で一刻も早い切り替えを待ち望みましょう。
P.S.
米Yahoo!のBing移行開始を受けてBingトライアルを実践していましたが、もうストップです。
Bingを知るという目的が薄れてしまいましたからね。
でも、Bingは悪くなかったです。
知りたい情報が手に入らないという検索はほとんどありませんでした。
不安なのでBingで検索した後にGoogleで検索することも頻繁でしたが、似かよった検索結果も多いです。
まったく異なる検索結果があったとしても、それは精度の問題ではなく何に重きを置くかで変わってくることであって「ユーザーが求めていること」を判断する基準が違うことによるものだと推測します。
デフォルトの検索エンジンになる可能性もあったのに残念 > Bing