このブログでたびたびテーマに持ち出す、301リダイレクト。
301リダイレクトは、新しいドメインへの移転、ディレクトリやファイルの変更による新しいURLへの書き換え、情報の古くなったページの関連する新しいページへの転送、存在しなくなったページの別ページへの転送、所有権確保のためのexample.comとexample.netとexample.jpのような類似したドメインの統合など、さまざまな目的で活用できます。
しかし、便利な反面、不正に利用されることがあるのも301リダイレクトの特徴です。
たとえば、期限切れで取得した中古ドメインの資産を別のサイトに受け渡してしまうとか、スパムサイトを競合のサイトにリダイレクトしてダメージを与えるとか。
また他のサイトに危害を与える手段としても、301リダイレクトは不正利用されることがあります。
検索エンジンは、こうした本来の目的とは異なり、検索結果を操作するような301リダイレクトに対抗する手段を模索しているようです。
Yahoo!はつい最近、”Method and Apparatus for Identifying if Two Websites are Co-Owned“というパテント(特許)を公開しました。
このドキュメントには、リダイレクト元のサイトとリダイレクト先のサイトが同じ所有者かどうかを判断する仕組みが書かれています。
簡潔に内容を探ってみましょう。
●Whois情報
もっともシンプルな手段です。
Whoisで転送元と転送先の所有者が同じかどうかを調べます。
同じ人や組織であれば、悪意を持った転送とは考えずらいですね。
●URLの共通点
URLに含まれる文字列に共通点があるかどうかです。
たとえば、「www.example.com/blog/」が「blog.example-site.com」にリダイレクトされていた場合、exampleやblogが重なっているので内容は同じままで、ドメインあるいはディレクトリ構造を変えた可能性が高いと言えます。
●DNS
2つのドメインのDNS設定が同じなら、同じ所有者かもしれません。
●アンカーテキストの共通点
アンカーテキストの重なりがチェックされます。
たとえば、「Suzuki Kenichi」というテキストが「http://www.suzukikenichi.com/」にリンクされているのはとても自然です。
コンテンツとの合致度も検査されます。
「Yahooのサイト管理者向け情報」というアンカーテキストの転送元のURLが「http://info.search.yahoo.co.jp/」で、転送先のURLが「http://www.banana-diet.jp」だったら怪しいですね。
スパム行為を防ぐためにも、アンカーテキストと転送先のウェブページのコンテンツがマッチしているかも調査されるのです。
●スパムサイトとしての形跡
元のサイトまたは転送先のサイトが、スパムサイトではないかどうかをチェックします。
リンクの繋がり関係やコンテンツなどを判断基準になります。
元がスパムサイトで、先がスパムサイトでないなら、悪意があるとしてリダイレクトを無効にするかもしれません。
●ページのTitle
転送元のTitleと転送先のTitleを比較します。
両者のTitleが一致していれば、同じ所有者のサイトだという有力な証拠になります。
パテントが、もうすぐなくなるかもしれないYahoo!のものだというのが引っかかりますが、GoogleやMicrosoftも同じようなことを考えているでしょう。
もしあなたが、301リダイレクトを乱用したスパム行為を受けている場合には、確実に実装してほしい仕組みですね。
反対に、スパム行為を働いたりランキング上昇を狙ったりして、本来の目的とはかけ離れた目的で301を使っている場合には、無意味な行為であるかもしれないということを知っておいたほうがよさそうです。
【参照ページ】
Does the Ownership of Redirected URLs Matter to Search Engines?