[対象: 全員]
SMX Advanced 2013の最初のセッションレポートは「You&A With Matt Cutts」です
You&A With Matt Cutts は米GoogleサーチクオリティチームのMatt Cutts(マット・カッツ)氏に、SMX代表のDanny Sullivan(ダニー・サリヴァン)氏がさまざまな突っ込んだ質問をぶつけていくQ&Aトークになります。
さっそく行ってみましょう!
You&A With Matt Cutts at SMX Advanced 2013
パンダアップデート
1ヶ月半前にアップデートした、それ以降は更新していない。
通常はだいたい1ヶ月ごと。
メインのインデックスに今は統合され、10日ほどかけて徐々に更新していく増分アップデートになっている。
導入時は大きな変動を起こしたが、今は落ち着いている。
グレーゾーンにいるサイトを助けるための新しいシグナルを開発中(のため前回から更新していない)。
これまでは更新があるごとに発表してきたが、パンダについて特別にアナウンスすることはもうやめた。
以前は毎月のアルゴリズム改善を発表してきたが、数が多くて人々が圧倒されてしまう。
1年間に500以上のアルゴリズム更新をGoogleは実行している(から重要な更新以外は伝えない)。
ペンギンアップデートは2.0大きな変動を起こし得るからアナウンスした。
ペンギンアップデート2.0
影響度はどのくらいスパムが多いかで変化する。
英語では比較的小さめの影響だったが、たとえばトルコ語では10.9%くらいの影響を与えた。アラビア語では13%ほど。
1つのアルゴリズムがすべてのスパムを対象にしているわけではなく、通常は特定のタイプを対象にしている。
ペンギンはウェブスパムを対象にしているがハッキングサイトは対象にしていない。
ペンギン1.0はホームページだけに影響していたが、ペンギン2.0は下層のページも見るようになり個別個別のページに影響する。
スパムの多いクエリに対するアルゴリズム更新
ちょうど導入したばかり。
【鈴木補足】直前にツイートでアナウンスしています。詳細はこちらの記事を参照。
We just started a new ranking update today for some spammy queries. See 2:30-3:10 of this video: http://t.co/KOMozoc3lo #smx
— Matt Cutts (@mattcutts) June 11, 2013
0.3〜0.5%に影響する。
ほとんどの人には関係しないだろうが、ブラックハットのフォーラムでは話題に挙がっているようだ。
たとえば英国では「Payday Loan」(即日ローン)のクエリで違法なサイト(ハッキングしたサイト?)が上位に出ていた。
ただし英国だけではなくワールドワイドで導入。
これとは別のアルゴリズム変更も数週間後に実行するだろう。
すべてを完璧に対処できているとは限らない。
残っているサイトもあるだろうが、だからといってブラックハットがうまくいくと思ってはいけない。
【鈴木補足】ペンギンはスパムクエリ向けのアルゴリズム変更以外にもブラックハットに対策するアルゴリズム変更をいくつか予定しているっぽい。
ハッキングされたサイトの対応
順調にいけば、2、3週間後に(ペンギンとは別のチームが)対策できると思う。
リンクの否認
「(ツールを使わせるのではなく)どうしてGoogleは自分たちで無効にしないのか」という問いに対して:
不正なリンクを削除させるのは、(正しくない相場になっているような株式の)市場を1度正すようなもの。
これまでとにかくみんなリンクのことしか考えていなかった。
本当に、質の低いリンクやスパムリンクを集めていた。
質の高いリンクに目を向けなければならない。
健全な状態に戻す。
どんな理由があるにせよ不正なリンクは削除しなければならないが、どうしても削除できないときのために否認ツールを提供した。
6、7年前のようにリンクを買えば簡単に上位表示できる状態にはないことは誰もが実感しているだろう。
プレスリリース
定義上は有料リンク。
アンカーテキストにキーワードを入れたプレスリリースからリンクは評価されるべきではない。
不自然リンクのサンプルURLを提示
アルゴリズムによる場合は通常は警告メッセージは届かない。
手動対応のときは、警告メッセージでほぼ直接通知する。
手動対応による不自然リンクの警告メッセージに、問題となるリンクのサンプルURLを1〜3本載せることを試験的に始めた。
手動対応の期限切れ
通常は期限が設定されている。
ガイドライン違反の内容によって期限の長さは変わってくる。
完全にブラックハットであまりにもひどく更生の余地がない場合は、ドメインが失効するまで手動対応の期間が続くこともあり得る。
自動的に期限切れするが、再び(人間の目視による)チェックが入ることもある。
モバイル(スマートフォン)のランキングアルゴリズム変更
モバイルのことを考えなければならない。
想像以上のスピードで状況が変化している。
2つの大きな問題を見てきている。
- すべてのモバイルのアクセスをPCのトップページにリダイレクトする
- スマートフォン向けのGooglebotをフィーチャーフォンにリダイレクトし、その後PC向けページにリダイレクトしてしまい、無限ループが発生する
スマホユーザーにとって敵対するような構成をとっているサイトは、以前ほど上に表示できなくなる。
マイナス評価の対象になる構成は今後増えるかもしれない。
ページの表示速度が本当に遅くユーザーエクスペリエンスを損ねている場合には、デスクトップ同様にモバイルでも検索順位を下げることがある。
アルゴリズム変更の承認が下りているが、実際に導入されるまでにはしばらく時間がかかるかもしれない。
ウェブスパムチームによるペナルティ関連のアルゴリズム変更ではなく、モバイルチームによるランキングアルゴリズム変更。
日本はとてもスマートフォンが普及しており、特別なことを適用している(鈴木補足: 具体的には言及せず)。
【鈴木補足】モバイルサイトのランキングアルゴリズム変更に関しては、GoogleのMaile Ohyeさんのセッションでも説明がありました。公式アナウンスにも触れながら別の記事で取り上げます。
バックリンクデータの提供
もっと多くのバックリンクデータを見せたいと思っていて、方法を模索中。
ウェブマスターたちがバックリンクのことばかりに気を取られることを望んでいない。
競合サイトのバックリンクを見せると確実に悪用される。
(not provided) – SSL検索
「導入時は1桁台の%の影響しかないと言っていたが?」という指摘に対して:
google.comでの英語の検索だけを対象にした予測だった。
グローバルで展開する前の話。
「ウェブマスターツールでもっとデータを提供しないのか?」という問に対して:
90日分のデータを提供しているし、ダウンロードすれば保存しておける。
ブランドの優遇
ブランドのあるサイトを優遇していたりはしない。
そもそもブランドのリストをGoogleは持っていない。
アフィリエイト
Googleはアフィリエイトサイトをブラックハットだとはまったく思っていない。
すばらしいアフィリエイトサイトもある。
良いアフィリエイトサイトも悪いアフィリエイトサイトもある。
どんな付加価値を提供しているかが問題になる。
ページスピード
ページの表示速度が速いことはさまざまな点でよいこと。
速いからといってランキングが上がるわけではない。
遅いと評価が下がる。
ガイドライン違反ではないからペナルティではない。
他の条件がすべて同じだったとしたら、遅いサイトのほうが順位が下になる。
(あるセッションで出ていた調査データの)ChromeとGoogleアナリティクスのデータをGoogleはランキングに反映していないという結論は正しい。
Facebookの多くのページをGoogleはクロールできないからFacebookのデータを使っていない。
数年前の調査にあった、Facebookの「いいね!」が多いと検索順位が高いというのは、すばらしいコンテンツにはリンクもたくさん集まるからだろう。
相関関係と因果関係は違う。
ジオロケーションによる振り分け
フランスからのユーザーをフランス語向けのページにリダイレクトするようなジオロケーションによる振り分けはクローキングではない。
IPアドレスに基づいて適切なページに振り分けるのは問題ない。
しかしGooglebotを、特別な国からアクセスしたように扱ってはいけない。
モバイルでも同じことで、人間のユーザーと同じようにGooglebotを扱うこと。
オーソリティサイトをより高く評価
特定のトピックに応じたランキングを見ている。
広範囲に適用できないので限られた部分で使っている。
たとえば、スパムが多い分野だから、それ専用のスコアリングシステムを使うとか。
ほとんどの分野では特定のジャンルを対象にしたものは使っていない。
医療や旅行のような、ある分野(カテゴリ、ジャンル)でオーソリティがあるサイトを上手に検出できるようになってきた。
オーソリティのあるサイトはよりランキングが多少上になる。
カテゴリはたくさんあり、自動的に作られる。
構造化データのエラーレポート ツール
構造化データのエラーをレポートするツールを準備中。
bit.ly/sdtesters からベータテストに参加申請できる。
直帰率
ランキングには使っていない。
去年も言ったとおり。
Google+(+1)
+1のデータはランキングに使っていない。
操作されやすいから。
どうやって使えるか研究中。
過大評価・過小評価されているSEO
- 過大評価: 短い目で見ればソーシャル。しかし長い目で見れば、Facebookを見られるようになるかもしれないし、著者情報が大事になることも考えられる。
- 過小評価: デザインとユーザーエクスペリエンス。
以上です。
大きなインパクトを与える「ビッグニュース!」はなかったかもしれません。
それでも無視できない情報がたくさんありました。
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