[レベル: 中〜上級]
AMP (Accelerated Mobile Pages) に対応したページを公開したからといって、モバイル向けページは不要にはなりません。
レスポンシブウェブデザイン・動的な配信・別々のURLのいずれであっても、モバイル対応したページは依然として必要です。
RWDは不要で、AMPだけで十分なのか?
The SEM Postによると、GoogleのMaile Ohye(マイリー・オーイェ)氏は、4月13日に米サンタモニカで開催されたSEJ Summitで参加者から次のような質問を尋ねられたそうです。
レスポンシブ ウェブ デザインのサイトを作らずに、モバイル向けサイトはもう無視して、PC版とAMP版のサイトだけを作り始めたほうがいいのか?
モバイル向けサイトを作らずにAMP版/PC版だけのサイトだけを作るというこの考えに、オーイェ氏は明確に反対したとのことです。
同時に次のようにもアドバイスしたとのことです。
Googleが将来どのようにAMPを使うかについて考えるべきだし、サイト運営者はサイトを将来的にAMPフレンドリーにすることを考えたほうがいい。
モバイル対応とAMP対応は別モノ
The SEM Postが伝えた、マイリーさんの発言はこれだけですが、僕なりの見解をまとめます。
モバイル対応とAMP対応は別モノです。
(表示速度が十分に速い)モバイル向けページを提供できているからといって、AMP対応する必要がないということにはなりません。
逆も同じことで、AMP対応したからといってモバイル向けページを提供しなくていいということにもなりません。
モバイル対応したページがいくら高速であっても、AMPほどには速くできないでしょう。
「読みやすさ」という点でも、AMPページには勝てないかもしれません。
適用されるジャンルがニュース系コンテンツに限られているので、少なくとも現時点ではすべてのサイトで対応する価値があるとは思えません。
またニュース系サイトであったとしても、AMP対応は必須ではありません。
そうはいっても、AMPには単なるモバイル向けページ以上の特徴があることは確かです。
今のところは、Googleにおいては、モバイル検索のカルーセルでのみAMPコンテンツは表示されます。
しかし、今後はAMPコンテンツが配信される環境が増えていくことが予想されます。
たとえば、Google+の投稿からAMPコンテンツを返すなんていうのは比較的簡単にできそうに思います。
GmailやGoogleドキュメントにあるURL先がAMP対応していれば、AMP用ページを返すこともやろうと思えば、できるかもしれません。
AMPはオープンソースです。
Googleだけではなく、そのほかのサービス提供事業者もAMPのサポートを始めています。
Twitterは、リンク先ページがAMP対応していれば、AMPページを表示する機能をMomentsで正式に導入しました。
日本に目を向ければ、はてなブックマークのアプリがAndroid版とiPhone版ともにAMPページの表示をサポートするようになりました。
LINEも、AMPのサポートを開始しました。
AMPをサポートするサービスは今後もっともっと増えていくでしょう。
一方で、モバイル対応は依然として必要です。
Google以外でもAMPをサポートするサービスが登場してきているといってもまだまだ数えるほどです。
サービスに依存せずにどのスマートフォンからでも、見やすく使いやすく利用できるモバイル向けページは欠かせません。
AMPページは確かに高速ですが、高速化を実現するために犠牲にしている機能や仕組みもあります。
通常のモバイル向けページじゃないとできないことがあります。
また、Googleのモバイル検索では、AMPコンテンツはカルーセルの中にだけ掲載されます。
通常の結果には含まれません。
掲載枠が通常の結果よりも少ないカルーセル(最大10個とのこと)に含まれなかったらそこで終わりです。
「過去◯日以内に公開されたもの」という制限はないようですが、新しい記事がカルーセルに選ばれやすい傾向にあります。
今後、ニュース系コンテンツ以外への適用が始まれば、公開日時のウェイトは下がるかもしれませんが、今のところは“新しさ”はカルーセル掲載に大きく関わっていることは事実です。
このように、AMP化したコンテンツは“検索結果の露出機会”という点では、まだまだ通常検索に及びません(ですが、実を言うと、通常検索では1ページ目に表示されるはずがないビッグキーワードでカルーセルに含まれることもあり、AMP以外では得られないトラフィックがあることもまた確かなことです)。
ひょっとしたら、AMPページの公開だけで十分になる時代がいずれ訪れるかもしれません。
でもそれは今日、明日の話ではないでしょう。
したがって、今はまだモバイル対応したサイトも必要なのです。