Googleのアンカーテキスト評価に異変あり?、「“ブランド名”リンクを重視する」 at PubCon

昨日のMatt Cutts(マット・カッツ)が発言したGoogleのスパム対策強化に続いて、PubCon Las Vegasのレポートです。

Greg Boser(グレッグ・ボーザー)氏というSEOコンサルタントのセッションからになります。

Greg Boser氏はSEOカンファレンスでは常連のスピーカーで、GoogleのMatt Cutts氏ともよく絡んでます。

今回の彼のセッションのなかで特に際立った情報が2つありました。

  • 特定のキーワードのアンカーテキストが強すぎると、Googleは自動的にフィルタをかける
  • 商用キーワードではなくブランドのリンクを構築したほうがいい

1つ目は気づいているサイト管理者もいるはずです。

同じキーワードばかりのアンカーテキストを何度も何度も繰り返しても、ランキングの上昇には役立たなくなっているかもしれないのです。
Greg Boser氏に言わせると、しきい値があってそれ以上のリンクは自動的にフィルタアウトされるとのことでした。
評価の度合いが下がるか、評価対象から外れるということでしょう。
ともするとペナルティの対象になるかもしれません。

2つ目は、Greg Boser氏以外も指摘しているGoogleのブランド名リンクの重要視傾向です。
Web担当者Forumの連載コーナーで数回ピックアップしています。

「ブランド」というのは、特定のヒト・モノ・サービスを指し示す固有名詞と捉えてもらうといいでしょう。

分かりやすい例でいえば、「シャネル」や「ルイ・ヴィトン」がそうですし、「プレイステーション」、「新型プリウス」、「スカイマイル」、「じゃらん」、「ぐるなび」なんていうのもそうです。

人名もブランドに相当します。

僕で言ったら、「鈴木謙一」とか「海外SEO」、「海外SEO情報ブログ」がブランドですね。
(↑、認知度の度合いは今は無視してくださいw)

こういったブランドを含んだリンクの評価が高まっているというのです。

リンクのアンカーテキストには、「商用のキーワードでなくブランド名でのキーワードを含めろ」というのがGreg Boser氏のアドバイスでした。

ブランド名のリンクのほうが自然というのが理由の1つです。

考えてみてください。
普通の一般的なユーザーが、「クレジットカード」・「債務整理」・「SEO対策」このような単体のキーワードでリンクを張ることって稀ではないでしょうか?

SEO対策のエキスパート、鈴木謙一。SEO対策の最新情報が手に入るブログを運営しています。SEO対策ならお任せを。

こんなふうにリンクしないですよね?
※ちょっと恐いんで念のためnofollowを付けてます(笑)

サイトタイトルだったり、記事タイトルだったり、URLだったりするパターンのほうが圧倒的に多いはずです。

ここで、今回のPubCon海外遠征隊の隊長、古澤さん「アンカーテキストにキーワードを含まない状態で検索キーワードとの関連性をどうやって判断するんだろう?」という疑問を抱きました。

そこでGreg Boser氏に直接質問させられましたしてきました。

次のような回答を得ました。

Googleのセマンティック技術が進歩しており、キーワードの出現に頼ることなくそのページのトピックが何なのか理解できるようになっている。
ブランドとキーワードの結び付きが分かっている。

証拠の例として、オートコンプリート(旧Googleサジェスト)や関連検索キーワードで提示される候補キーワードがあるとのことでした。

Googleの検索ボックスに「鈴木謙一」と入力すると「seo 鈴木謙一」という候補が出てきます。

Googleオートコンプリート

Googleにとっては、「鈴木謙一」と「SEO」は密接な関連性があると認識しているからのはずです。

オートコンプリートは基本的に実際の検索クエリに基づいて候補キーワードが作られますが、そのキーワードの組み合わせがウェブページに存在しているかも見ているようです(関連キーワードを操作するスパムがGoogleでは難しい理由の1つ)。

僕は「SEO 鈴木謙一」という検索を毎日繰り返していませんし、そんなスパムサービスを1度たりとも利用したことはありません。

「SEO」と「鈴木謙一」が含まれる検索でのGoogleからのアクセスは、直近1か月で100ほどです。
検索数が多いとは言えませんよね(それでもこんなにあるのが少し驚きです)。

検索数以外の要素も見て、「seo 鈴木謙一」を提示しているのだろうと推測します。

理由は何であれ、Googleにとっては「鈴木謙一」と「SEO」は関係性が深いのです。
つまり、「鈴木謙一」でリンクを張っても「SEO」のキーワードにも効果がある、そういうふうに分析することができそうだというのです。

自分のブランドで検索したときにターゲットキーワードを加えた候補をオートコンプリートが提示してくれたら、Googleはあなたをブランドとして認知してくれていると判断できるのかもしれません(完全な推測ですが)。

これからは「ブランド名のリンクを増やしましょう」…、

と、話はここで終りではありません。

「他のSEOエキスパートはどう考えているんだろう」ということで、WebmasterWorldのtedsterに「ブランドリンクの評価」について尋ねてきました。

tedの考えでは、
「ブランド名のリンクというよりも“オーソリティ”の問題ではないか」
とのことでした。

Googleは、ブランドサイトが上位に表示するようになったVince Updage(ヴィンス・アップデート)というアルゴリズム更新を過去に実行しています。
そのときにMatt Cutts氏は、「ブランドを重要視するわけではなく、オーソリティ(とトラスト、レピュテーション、PageRank)」を考慮するようになっただけだ」と説明しています。

ここからは完全に僕の推測です。

オーソリティを獲得する条件の1つに「ブランド名」でのリンクが必要なのではないでしょうか?
オーソリティサイトになるには、さまざまな条件が求められるようです。
ページ数やコンテンツの量、更新頻度、被リンクの集まり方・張られ方・増加スピード、運用年数などなど、そのなかにサイト名だったりサービス名だったりを表すブランドリンク(の数?)が含まれているのかもしれません。

ブランド名でのリンクが数多くいろいろなサイトから継続的に集まることで、Googleにブランド(=オーソリティ)として認識されると考えるのはどうでしょうか。

分かりやすく例えると、たくさんの人に知ってもらっているということですね。
「鈴木謙一といえばSEOオタク」とみんなが認知している状態になるということです。

ただし、ブランドリンクはオーソリティサイトになるための数ある要件の1つなので、単に自作自演リンクのアンカーテキストをサイト名にすれば済むというわけにもいかないのではないと考えます。

そもそも自作自演リンク中心に考えるから、ターゲットにした単一の商用キーワードとサイト名、URLのアンカーテキストの比率をどうしようとかなんていう問題が出てきます。

スパム強化の話でも分かるように、何とかして検索エンジンの裏をかこうというSEO(SEOじゃないですね)はどんどん困難になっていきそうです。

多くの資金と人手を利用できる体力のあるSEO業者さんだったりそういったSEO業者を問題なく利用できるならいいかもしれませんが、インハウスでSEOをやっているなら自作だけに頼らないSEOに方向転換しなければならない時期が確実に来ています。

これも昨日のスパム反対論と同じように正義感からではなくて、そういう方向(ナチュラルリンクが集まる施策)にシフトしていかないと勝ち残っていけないということです。

そうすれば、ブランドリンクも自然と集まるでしょう。