[レベル: 上級]
特に若い世代の間では、インターネットで探しものをするときに Google 検索や Google マップではなく Instagram や TikTok を利用する傾向が強まっているようです。
こうした変化を Google は脅威に感じ始めています。
Google の上級副社長である Prabhakar Raghavan(プラバカール・ラガヴァン)氏が FORTUNE Brainstorm Tech 2022 カンファレンスで語ったこととして TechCrunch が報じています。
ランチする場所を探すときに使うのは Google じゃなくて TikTok や Instagram
動画サービスを提供する YouTube の競合に TikTok がなっているのは言わずもがなですが、さらには、Google の主力サービスである検索やマップも脅かし始めています。
若い世代の人たちは、何かを見つける際には Google 検索や Google マップを使わずに TikTok や Instagram を使うというのです。
Google の内部調査によれば、若い人たちのほぼ 40% はランチする場所を探すときに、Google 検索や Google マップではなく TikTok か Instagram に行くことが判明しました。
📝すずき補足: 18 〜 24 歳の米国のユーザーを対象にした調査とのこと。今のところは未公開だが将来公開される可能性はあるかもしれない。
こうした状況についてラガヴァン氏は次のようにコメントしています。
新しいインターネットユーザーは、私たちが当たり前のように思っている期待値や発想を持っていない。彼らの探し方は私たちのものとは完全に異なっている。
若者はキーワードを文字入力するのではなく、(映像や音などによってあたかもその環境の中に自分がいるような)より没入型の新しいやり方でコンテンツを発見しようとする。
若者は文字よりも視覚要素を好む
若い人たちが探しものをしたり新しいものを発見したりするときに、文字よりも視覚要素を好むのはランチ場所に限ったことではありません。
全般的に言えることだとラガヴァン氏は認識しています。
Google マップは、(僕ら世代が普通に使っていた)紙の地図の置き換わりです。
しかし、今の若者はそもそも紙の地図を使ったことすらありません。
この時点で、現状の Google マップも彼らにとっては “旧式” のフォーマットなのです。
没入型の地図サービスとして、ストリートビューで道案内するライブビューがすでに利用できます。
さらに、Immersive view(没入型ビュー)というまったく新しい機能も Google マップにまもまく導入されます。
Immersive view では、建物の内部や上空から見下ろしたシーンも見ることができます。
視覚要素を好む若い人たちの要求は Google マップにとどまらず、検索サービスにも影響を与えるだろうとラガヴァン氏は示唆しています。
私たちは、完全に新しい期待を思い浮かべなければならない、全く新しいテクノロジーの基盤になるようなものを。
このようにラガヴァン氏は述べています。
Google は TikTok や Instagram にどのように立ち向かうのか
若い人たちが、Google マップじゃなくて Instagram や TikTok でレストランを探すというのを聞いて、真っ先に僕はこの動画を思い出しました。
YouTube のミエルカチャンネルで Faber Company が最近公開した動画です。
当社の 20 代の女性の実情です。
この動画を観たときには「へぇー、イマドキの若い子はそうなんだ」くらいにしか思わなかったのですが、実は、Google のビジネス戦略にインパクトを与えるほどの新しい行動様式だったことに衝撃を受けています。
特に TikTok は、Google 検索や Discover にも出てくるようになっています。
動画コンテンツがより好まれるようになっている証拠です。
📝米モバイル検索のショート動画セクションに掲載される TikTok 動画
📝Discover フィードに掲載される TikTok 動画
こんなふうに TikTok/Instagram のコンテンツを掲載するというのは Google が取りうる手段の 1 つです。
一方で、Google マップのライブビューや Immersive view は、視覚要素を用いた新しいプロダクトです。
Google レンズの multisearch(とその拡張の near me と scene exploration)もビジュアル要素で探しものを発見する新機能です。
しかし、TikTok/Instagram(や、今後出現するかもしれない新興の動画/画像サービス)に Google が対抗するには、ラガヴァン氏が指摘するように、まったく新しいタイプのサービスを生み出さなければならないでしょう。
僕たちも、従来の SEO に固執することなく新しい潮流に柔軟に対応していきたいものです。