Zappos(ザッポス)が施策する大規模ECサイトのSEO from #PubCon Hawaii 2012

[対象: 中〜上級]

PubCon Hawaii 2012のセッションレポートの第一弾です。

このレポートでは、Zappos(ザッポス)が施策しているいくつかのSEOを紹介します。
Zapposは米国でも指折りの大規模ECサイトでアパレル関連の商品をオンラインで通信販売しています(通販以外にも顧客サービスの素晴らしさなどで有名だから知ってますよね)。

セッションで紹介されたZapposのSEOは、個別アイテムのページをクロール・インデックス、上位表示させるための工夫です。

Zapposのような超大規模なECサイトではカテゴリからサブカテゴリへ、サブカテゴリから“サブ”サブカテゴリへ、サブサブカテゴリからようやく個別アイテムページヘ、というように末端の個別ページまでにいくつものリンクを介さないと到達できないことが多くあります。
場合によってはもっと細分化したカテゴリに分かれていることもあるでしょう。

SEOにおいて重要なのは、URLの階層(ディレクトリの階層)ではなくクリックの階層(リンクの階層)なので個別ページに行き着くまでのリンクの数が多いと、クローラに訪れてもらえないことがあります。

通過するリンクの数が多いと渡されるPageRankも少なくなり、たとえクロールされたとしてもインデックスされないかもしれないし、インデックスされたとしても上位表示が難しくなるかもしれません。

そこでZapposがとった手法は、トップページを含めより少ない数ですべてのページから個別ページへリンクすることです。

具体的には、「アイテム対決ページ」を作成し、そのページへのリンクをフッターに設置しました。
アイテム対決ページからは個別アイテムページへリンクしています。

Zapposのフッターにあるアイテム対決ページへのリンク

Zapposアイテム対決ページ

上のキャプチャはフッターに設置してある、アイテム対決ページ(PRODUCT SHOWDOWN)へのリンクです。

下のキャプチャはアイテム対決ページで、ここでは2つの商品を競わせてユーザーにどちらが好きかを投票させます
ユーザーを巻き込んだインタラクティブな企画です。

それぞれのアイテムの品名は個別ページヘのリンクになっています(矢印で差した部分)。
アイテムの固有名詞をアンカーテキストにしたリンクです。

このページに掲載される2つのアイテムはシステムでランダムに選ばれます。
アクセスするたびに組み合わせが変わります。

サイドバーにはカレンダーを設置しており、1日のなかで競わせた対決の組み合わせを一覧で見ることができます。

Zapposアイテム対決カレンダー

アイテム対決ページの“トップページ”はブログのように内容が頻繁に更新されてしまいますが、各対決ページには、これまたブログのパーマリンクのように個別のURLが割り当てられます。

Zapposアイテム個別ページ

Zapposは、商品名での検索でも数多くのアイテムで上位表示を達成していて、その理由の1つが今説明した施策による成果のようです。

アイテム名の検索で上位表示しているZappos

アイテム名の検索で上位表示しているZappos

このようにZapposは、個別アイテムページへのリンクが載っているページを増やし、そのページへは、ホームページをはじめサイト内のすべてのページから少ないリンク数で到達できるようにすることで、検索エンジンによるクロール・インデックスを促しPageRankを末端ページにも渡るようにしているのでした。

むやみに無価値なページを量産するわけではなく、「対決・投票」させることでユーザーを巻き込んで楽しめるコンテンツに仕上げているところも見逃してはならない重要ポイントですね。

対決ページである必要はまったくなく、個別ページへのリンクを設置できるページを、オリジナルかつユニークなコンテンツで増やし少ないリンクで到達できるようにするというのは、大規模サイトではヒントになりそうです。

その他のZapposが行なっているSEOを簡単に紹介します。
いくつかはセッション終了後にスピーカーに直接質問してきたことです。

先ほど見せた個別アイテムの検索結果にはビデオのサムネイルが差し込まれています。

Zapposは個別アイテムごとにビデオを撮って公開していることでも有名です。

ビデオはYouTubeなど動画投稿サイトに置くのではなく、自サイトに置いています。
直接のトラフィックを集めるためです。

Googleはビデオが好きなので上位表示にも貢献してることも考えられます。

Zapposは、85人のフルタイムのライターを雇っているそうです。
数字を聞き違えているかもしれないのですが、多くのフルタイムライターを抱えて面白いユニークなコンテンツを作っているのは確かなことです。

ザッポスは、ページネーションにおいて2ページ目以降をrel=”canonical”で1ページに向けています。
Googleが推奨しない使い方だと認識していますが、効いているからこの方法をとっているとのことでした。

ちなみにrel=”prev”/”next”を使う気はなさそうでした。

Zappos社内のSEO専任担当者は1人だそうです。

この記事で紹介したプレゼンは、Aaron Shear(アーロン・シアー)氏という外部のSEOコンサルタントによるものです。

SEOにはあまり力を入れていないとも言っていました。

意外な感じがします。

Zapposはページの表示時間を1.8秒以下に収めるように努力しています。
「レンダリングに4秒以上かかるとGoogleの評価が下がる」なんていうことをスピーカーのシアー氏は話していました。

PubCon Hawaii 2011のレポート第一弾は以上です。
お役に立てたでしょうか?